TPPでハゲタカが狙う日本の医療

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日本の宝、国民会保険の資金がハゲタカ投資家に狙われている

 日本人はいまの環境を「当たり前」だと思っているから、恵まれていることに気づいていない。日本の宝とは国民皆保険です。保険証一枚で日本全国、どの病院にも行くことができる。これは私たちにとって「宝」です。
「保険証のせいで、お年寄りは症状もないのに病院に来て、サロンよろしく井戸端会議をしている。医療費の無駄だ」とか、「日本医師会は既得権益をもつ抵抗勢力だ」などという指摘がありますよね。しかしそう居た阿多状況もアメリカの「地獄」に比べれば、取るに足らない瑣末な問題に過ぎません

 これらの問題を解決することと、国民皆保険を解体することは全く別です。制度は一度奪われてしまえば、二度と取り戻せない。改良に改良を重ねて、国民が平穏に、ある程度平等に医療を受けられるようにと時間をかけて作り上げたいまの制度を、瑣末な問題で崩してはなりません

 医療の株式会社化を許せば、行きつく先はシャッター街と同じです。大型の病院が地域医療を吸収し、潰してしまう。株式会社ですから、採算が取れなければ撤退します。介護施設も同様で、「採算が取れないので撤退する」と言われたら、老人たちは放り出されてしまう。

 これが日本の株式会社なら、メディアが倫理を問い、国会が証人喚問し、厚労省が規制することもできるでしょう。しかし、株主がJPモルガンなどの外資企業だったらどうでしょうか? 国会には呼べない、新聞社もテレビ局もインタビューさえ取れない。日本の司法が守れるギリギリの線がありますから、その外から大きな影響を及ぼすものについてはやはり線引きが必要です。

 アメリカで起こっていることは、このままいけば日本でも確実に起こりうる。特に医療など、人の命にかかわるものを商品化して外国に市場をオープンにすることは自殺行為です。日本を守るために、アメリカの現状を直視してほしいです。

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西部邁

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