「ネトウヨ」と「行動する保守」
- 2015/1/6
- 社会
- feature4, WiLL
- 2,510 comments
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「ネット保守」二つの支柱
このような現状を理解して改善するためには、「保守」「ネット保守(ネット右翼)」「行動する保守」の三者の違いを正確に把握するところから始めるべきだ。
まず、「保守」は伝統的に自民党のなかのタカ派的価値観(ヤルタ・ポツダム体制の打破=憲法改正、靖国公式参拝への賛成、自虐史観の是正=清和会など)を支持する穏健な人々による集合体である。おそらく、本誌を読んでいる読者の多くがこの「保守」に該当するだろう。
対して「ネット保守」とは、こういった自民党的支持母体という戦後の「保守」の屋台骨を形成していた場所から、まったく関係のないインターネット空間に誕生した保守勢力である。
「ネット保守」の誕生と増加の端緒となったのは、二〇〇二年の日韓共催ワールドカップである。この大会で、韓国チームの目にあまるラフプレーや韓国応援団の異様なナショナリズムの発露(テーハミングの大合唱など)に戦慄した少なくない日本人が、そのことを誠実に放送しない既存の大手マスメディアに対する不満の解消を求めてインターネットの空間に流れ込んだのが、「ネット保守」の始まりである。
だから、「ネット保守」は基本的には「アンチ大メディア」と「嫌韓」という二つを支柱として、ゼロ年代を通じて急速に拡大していった。
ゼロ年代後半(二〇〇八年頃)に入ると、独立系のCS放送局などが中心となって「保守系」の言論人や文化人の言説を、動画番組という形で大量にYoutubeやニコニコ動画などの動画投稿サイトに普及させた。それによって本来、その出自が全く異なる「保守」と「ネット保守」は、保守派の言論人や知識人の言説がそのままネット空間に持ち込まれて影響を受けたため、現在ではこの両者の主張とはかなり似通っている。
が、あくまで「保守」と「ネット保守」はその出自が全く異なっているので、この二つは区分されて然るべきだろう。
知性を無視して行動
問題なのは、「行動する保守」である。彼らは、必ずしも自民党支持を前提としないインターネット空間から誕生したという意味では「ネット保守」と基本的には同じ性質だが、自らを「行動する」と自称していることからも分かるとおり、本来、インターネットの空間に閉じ込もっていた人々がリアル(現実)にデモや集会という形で飛び出してきたものだ。
しかも「行動する保守」の人々の多くは「保守派」の穏健で、温和で、知性的な主張を綺麗事であると決めつけ、「保守」自体を「綺麗事保守」と蔑視し、「保守が最大の癌である」といった言説までも繰り返している。
「行動する保守」は本来、「保守派」の知識人や言論人からその理論を受け継いだ存在だったはずだが、「そんな理屈や知識では日本は変わらない」と主張する。そして「保守」の理論的体系から大きく逸脱し、あるいはそういった知性を無視して行動することを第一義に置く。
リベラルや左派が「ネット右翼」「ネトウヨ」「レイシスト」などとして激しい攻撃の対象にしているのは、実はこの「行動する保守」の言動なのである。
この三者を「排外主義者たち」と一括りにするから話がややこしくなる。
「保守」「ネット保守」と「行動する保守」とは全く何の関係もない独立した存在であり、「行動する保守」は「保守」と自称してはいても、過去十五年近くの「保守」「ネット保守」の体系から全く逸脱した亜種であると看做さなければならない。
だからリベラルや左派が「行動する保守」を手厳しく批判したとしても、「保守」や「ネット保守」への批判に援用することは全くできないはずである。
ところが、左派は「保守派」全体を毀損したいがために、ことさら「行動する保守」の過激性、差別性を「排外主義」の四文字で表現し、それを延長させて安倍政権打倒などという安直な政治プロパガンダに用いている。
コメント
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古谷さんの定義だと、Willは非フジ産経グループ、自民党的出自なので、スタッフも読者もネトウヨということなのでしょう。過激派ネトウヨ(在特会)と同じ扱いですか…(笑)
ポリタス「ネット右翼」はなぜ沖縄の米軍を擁護するのか?
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ネトウヨ、ネット右翼、
邪魔に思っている達がネガキャンに必死ですな。
何故かというのは、まぁ普通の間隔の人が考えればわかることですけどね。