ベンチャーサポート税理士法人の森です。もう今年も残すところあと少しとなりました。実働日で考えると10日もないということに驚きます。
さて先月、大きな税金の発表がありました。皆様ご存知のように、安倍首相が記者会見で2015年10月に予定していた消費税の増税を延期する考えを示しました。正直、びっくりです。
ここ数年、減税の廃止や見送りは多々あれど、増税の方はきっちり実施される流れでした。ましてや、これだけ大きな消費税増税という事案がまさか本当に延期になるとは。
今度の選挙で信を問うとのことですが、他の政党も消費税の延期には賛成なので、来年10月の増税実施は延期が濃厚です。そのかわりに2017年4月、つまり1年半の延期の後は景気の良し悪しに関係なく増税するというバーター案という側面もあります。とはいえ、まずはやはり「朗報」と捉えたいですね。
2つの大きな税金改正
さて、消費税増税は見送られたのですが、来月1月からは経営陣にとって大きな税金の改正が2つあることをお忘れではないでしょうか?「所得税の最高税率アップ」と「相続税の基礎控除引き下げ」の2つです。
今回は所得税の最高税率アップについて、少し詳しく考えてみたいと思います。来年1月から「課税所得」が4,000万を超えた場合、所得税率が45%になります。住民税は一律10%ですので、実質55%の課税ということになるわけです。
ここで注意したいのは「課税所得4,000万」というのは年収で4,000万というわけではありません。個人差がありますが、だいたい年収で4,283万、月額で356万くらいの人が課税所得4,000万になります。
では、役員報酬を月額350万までにしておくのがベストで、360万になると大損をするのか?実は、そうとは言えないのです。
所得税は「所得税=課税所得×税率-控除額」という計算をされます。この「控除額」がミソで、所得4,000万までは「279万6千円」が自動的に引かれてるのですが、4,000万を超えると「479万6千円」が引かれます。いきなり階段のように税金が上がらないように配慮されてるわけですね。
実際に所得税を計算してみたらこうなりました。
年収4,000万→所得税1,207万(年収に対する所得税の税率30.1%)
年収4,200万→所得税1,287万(年収に対する所得税の税率30.6%)
年収4,400万→所得税1,373万(年収に対する所得税の税率31.2%)
年収4,600万→所得税1,463万(年収に対する所得税の税率31.8%)
年収4,800万→所得税1,553万(年収に対する所得税の税率32.3%)
これを見ていただくと課税所得4,000万を超えても急激には税額は上がらず、徐々に上がるように設定されているのがわかるかと思います。
とはいえ、非常に高額な税金が課されますし、実際にはこれに住民税や社会保険もかかります。またこのクラスになると法人税を払った方が税金だけを見れば安くなるゾーンです。法人税を払って社内の留保を厚くするのか、個人で使えるフリーキャッシュを増やしておくのか。ケースバイケースの判断となります。
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