消費税増税の問題点
- 2013/10/4
- 経済
- 消費税
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一時しのぎにしかならない消費税増税
消費税増税賛成派の人々の中の一部の人たちは、消費税増税直前の駆け込み需要を上手く利用すれば、消費税の増税の景気の悪化をある程度相殺できると主張します。少しわかりにくいかもしれないので具体的に説明するとこうです。消費税の増税を開始すると物価が上がるので、消費者は出来るだけ消費税が上がる前に買い物をしようと思うために、消費税の増税直前には駆け込み需要が発生し一時的に消費が活発化します。そこで、この駆け込み需要を上手く利用しょうと考える人たちは、この駆け込み需要をコンスタントにかつ継続的に発生させるために数年間の間、毎年1%ずつ消費税を上げていき、その間に発生している駆け込み需要によって消費税増税がもたらす経済に対するマイナスのインパクトを一定程度相殺出来ると主張します。
消費税増税発表⇒物価上昇を見越した駆け込み需要の発生⇒一時的な経済活性化⇒再び消費税増税の発表・・・
というサイクルです。
なんだか、目の前に人参をぶら下げるような話であり、あまりにも人をバカにした考え方で気に食わないのですが、そのような問題以前に、先ほど述べたようにデフレ期には消費税を引き上げても最終的な販売価格は上昇しない可能性がありますので、そうなれば、そもそもこの理屈の前提となる物価上昇を見越した駆け込み需要は発生しないことになり、ただただ販売側、生産側の収益を圧迫することになります。
税抜きで100円の商品であれば、消費税5%の時点では105円ですが、消費税が8%になっても販売側の競争が激しく108円に値上げができない場合、消費者ではなく供給側のどこかの企業にその3円分のしわ寄せがいきます。この場合大手企業は下請けとの関係で交渉上有利な立場にあるため多くの場合、下請けの中小企業がその負担をすることになるでしょう。
現在、日本の中小企業は会社数にして約177.5万社存在し、全会社数に占める割合は99.3%にものぼります。これらの中小企業の経営が圧迫され、これらの企業に勤める従業員の給与が減少すれば、その事が日本経済に与えるインパクトは相当なものになると予想されます。
つまり、一面では消費税は物価を上昇させるインフレ効果があるのですが、生産者の側からみると、中小企業の経営を圧迫し、従業員の給与を引き下げることによる強烈なデフレ圧力が発生するのです。このような見方をするなら、消費税増税という決断はアベノミクスの掲げるデフレ脱却という目標に真っ向から衝突する政策だということが理解できるでしょう。
もちろん、安倍首相は消費税増税による景気の腰折れを防ぐために、緊急の経済対策を実施すると発表しており、その内容と規模によってはこれらのマイナス効果を補って余りあるプラスの効果を発揮しデフレ不況脱却を達成することは可能かもしれません、しかし、現在の政治状況を踏まえるならば、消費税3%上昇分のマイナス効果を補って余りあるほど大規模な経済対策を行うことは非常に困難であり、今後も日本経済は苦しい時期が続くのではないでしょうか。
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