死に至る道「移民政策」もうここまで進んでいる!

移民が目的化

「外国人材交流推進議員連盟」に多大な影響を及ぼしたと自称し、かねてより「五十年で移民一千万人」構想を掲げ、自らを〝移民革命の先導者〟と自負する坂中英徳氏(元東京入管管理局長)は著書でこう述べる。

〈「日本人だけの閉ざされた世界」で安穏に暮すことはできない〉
〈生物の世界では、純種よりも雑種の方が生命力が強いとされる。交雑によって品種も改良される。人間の世界も同じ(中略)と言えるのではないか〉
〈ほぼ単一民族から成る国民と、異端の存在を許さない画一化社会の限界が来たのではないか〉
〈世界に先駆け、日本人と移民が協力し、人類の理想郷である他民族共同体を創るのである〉(『日本型移民国家への道』より)

 まさに「革命家」の如き独善的思考だが、もはや「人口を保つ」ことよりも「日本を多民族共生国家にすべし」が先行し、手段であるはずの移民が目的化してしまっている。

 また、日本国際交流センターの毛受敏浩氏は著書『人口激減』(新潮社)で、「移民政策を実施せず〝閉ざされた〟日本の未来は真っ暗」「移民を実施し〝開放〟された日本は明るく活気のある社会」とあまりにも落差のあるシミュレーションを展開しており、特に〝開放〟後の日本のデメリットについては実に楽観的だ。

 両者に限らず、なぜか移民推進派は海外で顕在化する「移民政策によるデメリット」を直視しない。そして、明らかに問題を抱え込んだ格好の欧州の先行事例があるにもかかわらず、推進派は安直に「寛容性のある日本にしかできない」という。

 さらに「もう移民政策しか残されていない。国が衰退するのを黙って見ているのは売国奴」「古来から日本は移民を受け入れて来た」「寛容な日本に排外主義はそぐわない」などと観念的なことを言って、実際に起きている問題から目を背けようとする。

 一見、日本を評価するもの言いなので騙されがちだが、愛国を隠れ蓑に事実を無視するやり方は看過できない。また、移民に反対しながら「親日外国人なら歓迎」というのは実質、賛成派と変わらないと言っていいだろう。

日本は日本人の手で!

 人口減少は確かに進んでいる。合計特殊出生率は一九七五年の一・九一から下がり続け、二〇〇五年には過去最低の一・二六を記録。二〇一二年には一・四まで回復したものの、出生数は過去最少となった。

 だが、「毎年結果の出る」少子化の問題に、この間、政治はいったいどう取り組んできたか。少子高齢化はもう二十年以上前から指摘されていたが、七〇年代前半生まれの団塊ジュニア世代の「出産適齢期」が過ぎてしまったのが致命的だった。

 二、三十代が結婚や出産を控える理由として経済不安をあげると、上の世代からは「私たちはもっと貧しかった」「若者は贅沢」「育児・出産と仕事の両立は可能」といった厳しい声が飛んでくる。「保守」と言われる論者はえてしてこの問題に極めて冷淡か、無関心なのが現状だ。

 だが若者世代を勝手に代表して言わせてもらえば、取り立てて贅沢をしたいわけではなく、「自分が親から受けたもの(教育、生活環境、娯楽など)はせめて子供にも与えたいが、それは不可能ではないか」との現状が、今の二十~三十代にはある。

 安定した大企業や公務員は別として、子供が大学に行く頃、自分の賃金レベルがどの程度になっているか、予測もつかないからだ。

 その上、バブル後の経済状況の変化でローン地獄に陥ったり、リストラにあって一家離散したり、過労死や自殺したりする上の世代を見て来たので、リスクを最大限に見積もるのも当然と言えば当然である。

「最低限の教育は税金で受けられる」と言われても、一方で「国際競争力を持てる人材に」と煽られる。国内で単純労働に就くにしても、外国人労働者が入ってくれば、椅子取りゲームはさらに激化する。

 外国人労働者受け入れに当たり、失業防止、治安悪化防止を理由に住宅、教育の保障が行われるだろうが、日本の若者の生活支援、子供の教育支援によって、「日本人の子供を増やす」施策をするのが先だろう。「日本を取り戻す」のは日本人の手によるものであるべきだ。
 

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西部邁

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  1. 2014年 12月 22日

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