日銀展望レポートって支離滅裂、日銀は電話での質問を拒否

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11月1日の日銀の展望レポートだが、支離滅裂だ。2頁には国内需要は政府の大型経済対策による財政支出などを背景に増加基調をたどると考えられると書いてあるのだが、5頁には財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下する場合、長期金利が上昇して経済が下振れするとある。財政を拡大すると「財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下する」と言いたいのだろう。

つまり2頁では財政拡大は経済が上振れすると言い、5頁では下振れすると言っている。支離滅裂ではないかと日銀に電話して聞いたら「これは一般論なのだ」という。一般論であっても矛盾は矛盾だと聞き直した。しかし「お前の解釈が間違えている」と言って、どのように間違えているのかの説明もなく、一方的に電話を切られてしまった。

そもそも日銀は長期金利を0%になるように誘導することを目標にしている。だったら、長期金利が上振れするなどと言うことは自ら目標を放棄していることではないか。日銀は外国投資家の国債売りに負けてしまうというのか。しかし、債券の投資家は「泣く子と日銀には勝てぬ」と言っている。それはそうだろう。日銀はいくらでも円というお金を刷れる世界唯一の存在なのだから。

この日の黒田日銀総裁は記者会見でインフレ目標が達成できないことに「もちろん残念だ」と言い、「金融政策だけでなく、財政政策や構造改革が必要だ」と言っている。それなのに、展望レポートでは、財政政策では財政の信認が低下し、長期金利が上昇するから財政政策はダメだと言いたそうで、本当に支離滅裂である。
日銀は当初2年で2%のインフレ目標を達成すると主張していたのに、とうとう5回も達成時期を延期し、黒田総裁の5年の任期中に達成できない見通しとなった。黒田氏は自分の任期は関係ないと言うが、馬鹿な目標を発表するから日銀の信認は地に落ちた。

質問主意書に対する政府の答弁もしっくりしない。日銀が長期金利を0%に誘導するなら、金利暴騰、つまり国債暴落はありえないのではないかと政府に質問したが、答弁書には、長期国債の金利は市場で決まるものだと主張し、国債暴落の可能性を否定しなかった。これは日銀の金融政策の有効性を疑っているということかと再度質問したら、そうではないとの答弁であった。
何を言いたいのかしっくりしない。これは国債価格支持政策と呼ばれていて、米国でも1942年から9年間長期金利を2.5%以下に抑える政策が行われ、実際金利は2.5%を超えることはなかった。なぜ国も日銀も「国債暴落はもはや起こり得ません」と断言しないのだろうか。

日本経済は失われた20年と言われる長い不況の中にある。不況を長引かせている理由の一つに日本人の多くが持っている将来不安である。国の借金1000兆円、国債暴落、ハイパーインフレ等の言葉に騙されて、今は将来に備えて節約をしておかなければと考えている。
その将来不安を解消させるのが政府・日銀の役割だ。国民の不安解消なしに経済再生はあり得ないし、今こそ政府は不安解消のための努力をすべきだ。

「1000兆円の国の借金は日銀がどんどん返しているところです」「ハイパーインフレは今の日本では起こり得ません」「国債暴落は日銀が阻止します」「消費税率は8%から5%に戻します」とアナウンスすれば、将来不安が一掃され、日本経済の失われた20年にストップを掛けることができる。

小野盛司

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