安倍首相は戦後レジーム脱却を成しうるのか?

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10月1日安倍首相は消費税増税を決定しました。同時に、消費税増税による景気の腰折れを防ぐためとして、5兆円規模の補正予算案と1兆円規模の減税案を発表、しかし裏を返せばこれは消費税増税が景気を悪化させるということを承知しながら消費税増税を決定したことにほかならないと考えて構わないでしょう。

昨年12月に行われ自民党が圧勝した衆議院選挙において、安倍首相(当時は自民党総裁)は2つの目的を核として選挙を戦いそして勝利しました。ひとつは経済の分野におけるデフレ不況の脱却、そしてもう一つは戦後レジームからの脱却です。

安倍政権は本当にデフレ脱却ができるのか?

当時は、国土強靭化法案の推進やアベノミクスと呼ばれた財政出動と金融緩和のミックスの経済政策の推進というデフレ不況脱却のための二つの対策により、デフレ不況脱却のための正しい経済政策への道筋が示されたと多くの人々が感じました。これはマスコミのバッシングもものともせず非常に高い支持を得られた重要な理由の一つであると思います。

しかし、裏を返せば、それまでの政権がまったくマクロ経済の基本的な政策すらも理解せずに全く誤った政策を推進しようとしていた事に対する反動であり、それほど画期的な案でもなかったともいえるでしょう。むしろ、経済政策において注目すべきは、「瑞穂の国の資本主義」や「強欲を原動力とする市場主義経済からの脱却」という言葉に象徴されるように、もはや世界的な潮流になっていたグローバリズムとアメリカ型の新自由主義的な構造改革に対して如何に抵抗もしくは対抗するのか?という問題であったと考えるべきです。

アメリカ型の新自由主義的な改革が盛り沢山の安倍政権

しかし、TPPの交渉参加、各種構造改革の推進、経済特区の設置案、民間議員を含めた産業競争力会議の設置等々、グローバリズムやアメリカ型の新自由主義的な改革に対しては対抗するどころか、むしろ安倍首相自身が積極的に推進しているといえるでしょう。

そして、デフレ脱却前の消費税増税決定に、財政の健全化志向とマクロ経済の基本から全く逆行する政策を重ねることにより、せめて実現できるであろうと思われたデフレ不況の脱却すら危うくなってしまっているのが現実です。

つまり、経済政策としては、デフレ不況の脱却、新自由主義的な政策レジームからの脱却のどちらも困難となっています。では、もうひとつの目標であった戦後レジームの脱却に関してはいかがでしょうか?

こちらに関しては、私個人としては、デフレ不況の脱却以上に困難であると考えています。戦後レジーム、よりありていに言えば敗戦後体制と言っても良いでしょう。安倍首相の2007年の国会答弁によれば、戦後の「憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組み」とされます。

→ 次ページ:「一部の保守論客から評価されている「アメリカ追従路線外交」」を読む

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西部邁

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