憲法9条をノーベル賞にしようという運動について・・・
- 2014/5/9
- 社会
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状況を見ず、物語に惑溺する皆さん、ご愁傷さまです。
しかし、非常に問題なのは、日本は憲法9条によって戦後の平和を保ってきたと考える人間にはこの重大な状況の変化が理解できないということです。憲法9条によって平和がもたらされたと考える者には、地政学的な状況の変化が発生したから、「これまでのようにまともな戦争遂行能力を持たないような法制度をすぐにでも改正しなければならない」などと言っても、その意味がほとんど理解できず、「改憲派の連中は、今すぐ戦争を起こそうとしている危険思想の持ち主だ!!」などと考えるわけです。あるいは、国防予算を拡充しようとすれば、災害の時にはあんなに頼るくせに「なんで、こんなに庶民の生活が苦しくなっているのに、自衛隊に無駄な予算をつけさせるのだ!!」といって反発するかもしれません。
京都大学教授の藤井聡さんは、物語論の研究を行っておりますが、この左翼の持つ主要な物語は、「憲法9条による平和物語」とでも名付けるべきでしょう。現実に、憲法9条があるということと、日本が戦後一度も戦争をしなかったこととどの程度強い関係性があるかということについてはっきりしたことはいえませんが、しかし憲法9条によって平和がもたらされたのだという確信(あるいは思い込み)があまりにも強すぎると、容易に重要な状況の変化を見落としてしまうというリスクが発生するわけです。
もっとも、保守の側も、このような浅薄な左翼の状況認識を見て、「まったく、これだからお花畑の左翼は困りものだな」などと馬鹿にすることは決して出来ません。実際、保守の側にも、アメリカとの軍事同盟、あるいはアメリカの核の傘やアメリカへの政治的軍事的従属によって、平和を維持してきたと考える論者も多く存在しますが、これも左翼の「憲法9条による平和物語」をバカにできない程度に非現実的で浅はかな「日米同盟による平和物語」「アメリカの核の傘による平和物語」にとらわれている危険性があるわけです。人間は必然性を欲します。
もちろん、これは、「憲法9条による平和物語」よりは幾分マシで、現実に、戦後の日本の平和において、日米同盟や、アメリカの核の傘は非常に重要な役割を担っていました。しかし、それでも、そのアメリカとの関係性が非常に重要な意味を持ったのは、やはり冷戦構造という特殊な条件が前提にあったのであり、冷戦が終結して20年以上経った現在においても、アメリカとくっついていれば、黙ってアメリカの言うことを聞いていれば日本の平和は保たれるなどと考えるのは、あまりにも楽観的であり、現実の状況の変化に余りにも鈍感なナイーブすぎる現状認識であると言えるでしょう。
最後に・・・
この画像は、報道ステーションの一場面だそうです。しかし、当方の勉強不足故、日本で誰もが読み書きができるのは憲法9条のお陰だとは知りませんでした。おそらく、哀れにも憲法9条を持たない、日本以外の全ての国々は、ほとんど読み書きが出来ないのでしょう。憲法9条バンザイ!!ビバ憲法9条!!
まあ、冗談はこの辺にしておきまして、これが、憲法9条物語をあまりにもこじらせ過ぎた場合の末期症状の一例であるかと思います。まあ、こんな妄言を大真面目に報道しているマスコミのいい加減さも大概ではありますが、それに踊らされる国民一人一人の無思考ぶりがこの現状を引き起こしているのは言うまでもありません・・・。そもそも一億何千万人も持っている賞なんて、価値あるのでしょうか。
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コメント
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2014年 6月 21日トラックバック:雑記~何のための政治言論か?~ | gibtakalet1978
私は左翼の改憲派です。自衛隊の存在は憲法に明記するのが当然です。
ところで中曽根康弘さんや小泉純一郎さんは親米ですが、ほかの保守はソ連にも優しかったと思いますよ。特にソ連寄りの中川一郎氏は情に厚い立派な方でした。むしろリベラル進歩の田英夫さんたちこそ一方的にソ連を叩き、中国を礼賛していたじゃないですか。
冷戦は自由主義と社会主義の対立なんてもんじゃなかったですよ。むしろ中ソ対立のほうが先鋭化していた。特にカンボジア内戦は酷かったですよね。あの時アメリカは原始共産主義のポル・ポトを支持したんですから。アメリカは民主思想じゃなくて損得勘定で動いているだけ。中国がインドを攻撃した時、ソ連はインドに味方した。ダライ・ラマも訪ソしている。そういう時代ですよ。
世界中の知識人と凶暴なテロリストがソ連を攻撃しているときに、損得抜きでソ連と交流していた人たちは右派であれ左派であれ中道であれ尊敬に値します。
鷹巣直美様
日本から国際社会を見るだけではなく、国際社会から日本を見る眼も養って欲しい。貴方の運動は国際社会には全く通用しない。九条は論理的に破綻しているだけではなく、「偽善」です。
そもそも平和や戦争といった概念は関係・対立する他国の存在があって始めて成り立つ概念です。九条の「一国平和主義」は正常な論理的思考としては決して認められるものではありません。国際社会は「自力救済社会」であるという認識が全く欠如しているのです。
九条は実質的に日米安保と一体になっているという事実を隠して(認識せず)、九条の綺麗な条文(文言)だけを吹聴するのは偽善です。
九条の論理破綻と偽善を国際社会に吹聴するのは日本の恥以外の何ものでもありません。日本人の知的レベルや倫理が疑われるような運動は厳に慎んでもらいたい。
9条もマララもノーベル平和賞にふさわしくないです。
寧ろ、ノーベル平和賞にはアメリカの盗聴実態を暴いてくれたエドワード・ジョセフ・スノーデンさんの受賞が相応しいです。
エドワード・ジョセフ・スノーデンさんの本を読んでおくと彼がノーベル平和賞にふさわしい人物なのかが解ります。
最も、孫崎享さんや落合信彦さんが述べているようにノーベル平和賞そのものが疑われるように感じます。
特にオバマとEUの受賞は疑われる。
更に一部の左翼が中露の時代と言うが、AIIBはTPP及びTTIPの中国版であり加盟国にイスラエルやサウジアラビア、トルコ等のISISを支援している国家が多いです。
更に、ウクライナも参加検討しているので極めて疑わしいのです。
更にTPPやTTIPと同様にISD条項(ISDS)が含まれている可能性も否定できず、中東の戦争に金が流れる恐れがあることも否定できません。
そもそも中国賛美主義者は全体的に親米・反日・反露・反イランが多いように感じます。
つまり、中国は遷座的なアメリカ依存が強いのです。
おまけに中国はアメリカの経済属国だから、経済的な反米を持つロシアとイランとは相成れないのです。
だから中露の時代よりもロシアとイランによる本物の反米連合で米中に対抗していかなければならないと感じる。
本当の意味で平和を得るには日米安保条約を破棄と日露安保条約の制定が必要だと思います。