「ニート株式会社」の形態及び、理念に対する批判

<全員取締役>雇われたらニートではなくなってしまうので、雇用された従業員は一人もいない。
<全員平等>全員が平等に株主で、搾取する第三者はいない。
<本名を知らない>本名は知らせず、これまでの自分は忘れて、お互いにハンドルネームで呼び合う。
<楽しむ>すぐに儲(もう)かるか分からないことも、楽しければやる。あくまでニートらしく!

 最初の段階で、自分たちが現代社会の枠外に超越した存在であるかのようなナイーブすぎる錯覚を抱いているからこそ、それが本質的な問題に一切触れることなく、ひたすら安直な発想でもって、近代の枠外に超越的に存在する価値を生み出せるような、なんとも言い難い傲慢な幻想を抱いているわけです。

 もっとも、その意味では、私は古谷さんが述べている

戦後レジュームの脱却を、戦後体制その物である自民党が声高に叫ぶのと同じかそれ以上に馬鹿げていて滑稽である。

という意見には必ずしも同意しません。例えば、自民党の一極体制から新しい体制へと改革を行うのだと息巻いてた民主党が、あれだけの惨状を見せたことからもわかるように、はっきり言って、現代の政党はどれを見たところで、自民であろうが、民主であろうが、みんなであろうが、維新であろうが、すべて戦後レジームの体制にどっぷり浸かりきり、その体制の枠内で僅かな差異を主張しては「私たちは、今までになかったこんなにユニークな政党であり、新しい政治体制を築き上げていくのです!!」と宣言しているに等しい存在です。

 そうであるならば、いっそのこと、自分たちが戦後レジームの中にどっぷりと浸かりこんでいるのだということを深く自覚した上でそれを乗り越えようとする政党の方が、まだしも多少は希望を持ちうるのではないかと私にはそのように思えます。

 そういった意味では、この文章の最後の

 彼らは、自らが成熟した戦後日本の病理の一部であり、そこと癒着していることを自覚するところから始められてはどうか。

という意見に関しては、ほとんど100%同意をします。

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西部邁

高木克俊

高木克俊会社員

投稿者プロフィール

1987年生。神奈川県出身。家業である流通会社で会社員をしながら、ブログ「超個人的美学2~このブログは「超個人的美学と題するブログ」ではありません」を運営し、政治・経済について、積極的な発信を行っている。

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コメント

    • もやし
    • 2014年 3月 03日

    「ほぼ100%」「ほとんど100%」
    ダメ絶対。

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