金銭崇拝教

六本木ヒルズ

先日の『お金や異性以上の価値とは何か?』の記事の中で、

また、別の自己啓発の話を持ち出すと、脳機能学者を自称する苫米地英人氏は、『宗教の秘密』という本で面白い問題提起をしています。いわく、「現代社会というものは、伝統的な宗教の教えの価値がどんどん軽視され、薄れていく中で、お金が神に代わった。現代人のほとんどは、お金教の信者である」と説明し、さらに、このような「お金教」的な価値の洗脳から脱却しなければならないと述べています。

と書いたのですが、かの内村鑑三の『代表的日本人』という本を読んでいたら、これと非常に似た記述がなされているのを発見しました、なんだか奇遇だなーと思いましたが、非常に興味深い文章ですので紹介したいと思います。

 誰それは「無宗教」の人であるという話はたびたび聞かれます。しかしそれは、その人たちが、特定の教義を奉じていいるわけではなく、導かれる教団もなく、神として、木や金属でできたりまたは心に浮かべた像を崇拝していない、というだけの話にすぎません。それにもかかわらず、その人々にも宗教はあるのです。その内部にある「不可思議なもの」は、ただ「拝金主義」とか「お酒神」とか、あるいはまた、ほかの自分流の催眠術や鎮静術によるものにせよ、あの手この手を用いて押しこめられているだけなのです。

 うーむ、このような指摘を100年以上も前にしていたとは、さすがだなと思います。中野剛志さんや藤井聡さんは物語という言葉や概念を用いて説明していますが、結局のところ、どれだけ「自分はいかなる種類の思想、信条からも自由である」と抱くような人間も、本人がそれを意識していないだけで、必ず何かしらの思想、信条、あるいは物語というものに支配されているわけなのですね。そして、やはり問題なのは、高尚な、あるいは次元の高い思想、信条を抱けない、あるいは抱こうともしないような人間は、代わりに低俗で卑しい思想、信条、中野剛志さんの言葉を使えば物語、内村鑑三の言葉を使うなら信仰にとって代わられるということなのでしょう。

→ この記事を著者のサイトで読む

西部邁

高木克俊

高木克俊会社員

投稿者プロフィール

1987年生。神奈川県出身。家業である流通会社で会社員をしながら、ブログ「超個人的美学2~このブログは「超個人的美学と題するブログ」ではありません」を運営し、政治・経済について、積極的な発信を行っている。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 酒鬼薔薇世代

    2014-6-20

    【激論!酒鬼薔薇世代】私たちはキレる世代だったのか。

    過日、浅草浅間神社会議室に於いてASREAD執筆者の30代前半の方を集め、座談会の席を設けました。今…

おすすめ記事

  1. 1101
     経済政策を理解するためには、その土台である経済理論を知る必要があります。需要重視の経済学であるケイ…
  2. 1719
    ※この記事は月刊WiLL 2015年4月号に掲載されています。他の記事も読むにはコチラ 「発信…
  3. 1902
    ※この記事は月刊WiLL 2015年6月号に掲載されています。他の記事も読むにはコチラ 女性が…
  4. 酒鬼薔薇世代
    過日、浅草浅間神社会議室に於いてASREAD執筆者の30代前半の方を集め、座談会の席を設けました。今…
  5. 01
    第一章 桜の章  桜の花びらが、静かに舞っている。  桜の美しさは、彼女に、とて…
WordPressテーマ「AMORE (tcd028)」

WordPressテーマ「INNOVATE HACK (tcd025)」

LogoMarche

ButtonMarche

TCDテーマ一覧

イケてるシゴト!?

話題をチェック!

  1. 3152
    「日本死ね」騒動に対して、言いたいことは色々あるのですが、まぁこれだけは言わなきゃならないだろうとい…
  2. 2918
    多様性(ダイバーシティ)というのが、大学教育を語る上で重要なキーワードになりつつあります。 「…
  3. 2691
     11月13日に起きたパリ同時多発テロに関するマスコミの論調は、どれも痒い所に手が届かない印象があり…

ページ上部へ戻る