今、目の前で起こっている歴史捏造~共産党が『カイロ宣言』にこだわる理由~
- 2015/9/17
- 政治, 歴史
- 24 comments
中国共産党が「カイロ宣言」を持ち出すロジック
日中共同声明を少し引用しますと、次のような内容があります。
三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
ここでポツダム宣言という言葉が出てまいります。その第8項を引用してみましょう。
八、「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ
さて、ここにおいて、今回、中国共産党が固執している「カイロ宣言」という言葉が出てまいります。では、次は、カイロ宣言の内容を引用してみましょう。こちらは少し長くなりますが、お付き合いください。(以下、傍線は神田)
「ローズヴェルト」大統領、蒋介石大元帥及「チャーチル」総理大臣ハ、各自ノ軍事及外交顧問ト共ニ北「アフリカ」ニ於テ会議ヲ終了シ左ノ一般的声明ヲ発セラレタリ
各軍事使節ハ日本国ニ対スル将来ノ軍事行動ヲ協定セリ
三大同盟国ハ海路陸路及空路ニ依リ其ノ野蛮ナル敵国ニ対シ仮借ナキ弾圧ヲ加フルノ決意ヲ表明セリ右弾圧ハ既ニ増大シツツアリ
三大同盟国ハ日本国ノ侵略ヲ制止シ且之ヲ罰スル為今次ノ戦争ヲ為シツツアルモノナリ右同盟国ハ自国ノ為ニ何等ノ利得ヲモ欲求スルモノニ非ス又領土拡張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ス
右同盟国ノ目的ハ日本国ヨリ千九百十四年ノ第一次世界戦争ノ開始以後ニ於テ日本国カ奪取シ又ハ占領シタル太平洋ニ於ケル一切ノ島嶼ヲ剥奪スルコト並ニ満洲、台湾及澎湖島ノ如キ日本国カ清国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国ニ返還スルコトニ在リ
日本国ハ又暴力及貧慾ニ依リ日本国ノ略取シタル他ノ一切ノ地域ヨリ駆逐セラルヘシ前記三大国ハ朝鮮ノ人民ノ奴隷状態ニ留意シ軈テ朝鮮ヲ自由且独立ノモノタラシムルノ決意ヲ有ス
右ノ目的ヲ以テ右三同盟国ハ同盟諸国中日本国ト交戦中ナル諸国ト協調シ日本国ノ無条件降伏ヲ齎スニ必要ナル重大且長期ノ行動ヲ続行スヘシ」
注目していただきたいのは、カイロ宣言の中国側の代表者は国民党の代表であった中華民国であり、中華民国は清王朝の後継と考えられているわけです。
つまり、まとめるとこういうロジックなわけです。
・日本はポツダム宣言に出席した連合国軍がカイロ宣言に基づき、決定した主権範囲のみに、主権を持つことができる。
→連合国に参加していたのは、国民党蒋介石であり、中華民国である
→中華民国は台湾に存続しており、中国共産党と日本の友好は日中共同声明や日中友好平和条約による。
→カイロ宣言に共産党が参加していたストーリーができれば、清国及び中華民国時代の日本や連合国との交渉結果を引き継ぐことができる。
→極端な話、尖閣諸島や国境線の問題をポツダム宣言を盾につかえるかも。
日中平和友好条約の不都合な真実
ちなみに、1978年に中国共産党政府と日本が結んだ、日中平和友好条約には下記のような内容が記載されています。
両締約国は、そのいずれも、アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する。
このような記載がありながら、チベットやウイグルといった民族弾圧は「内政問題」として、共産党側は処理します。
しかし、前回取り上げた「スプラトリー危機」は間違いなく、中国が南シナ海に覇権を求めている動きです。そこに対して、動きを積極的に欠けているのは、同じ覇権国である合衆国であり、日本ではありません。
あくまで皮肉ですが、憲法9条や日米安保を盾に、このような対外国の論理的矛盾を突くことなく、あるいは、覇権を求めて動いている国家に困っている周辺国に対して、軍事的には無理でも、経済的、人材的援助といった動きもかけていかないのであれば、それは外交の敗北ではないでしょうか。
いずれにせよ、今の中国共産党が開始している、「プロパガンダ映画」の『カイロ宣言』は必見です!
2
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。