今、目の前で起こっている歴史捏造~共産党が『カイロ宣言』にこだわる理由~

もしあなたが十分に大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々は最後にはその嘘を信じるだろう。

ナチスドイツの発信力を支えた、宣伝相のゲッペルスが残した言葉とされています。ヒトラーの演技力を持って根拠の弱い事実も声高に100万回叫べば事実になるという現象を表現したこととして、プロパガンダの教科書として今日も語り継がれている言葉です。

さて、インターネットが普及し、情報という観点では一般市民と政府高官の基本的な差ががなくなった時代において、上にあげたプロパガンダを現に行おうとしている人々がいます。

それが、何を隠そう、現状として、中原を支配している中国共産党であります。

上陸前に漏れ聞こえる捏造の話題

実は、私にとって、プロパカンダ映画というのは10代後半から大好物であります。例えば、ハリウッドで制作された「パールハーバー」。主演のジョシュ・ハートネットは「ラッキー・スレブン」や「恋する40日」など共感のモテる作品が多いのですが、「パールハーバー」ダメでした。

というか、彼のキャラより「アメリカがあの戦争をどう思っているか」という本音の部分が強すぎたわけで彼に責任はありません。「1スジ、2ヌケ、3ドウサ」です。

その点で、第二次世界対戦、日本敗戦から70年経つ、今年、日本海と東シナ海を挟んだ隣国が満を辞して放った映画「カイロ宣言」はとにもかくにも見たくて仕方がないわけです。

しかし、上映館を探そうと思い、ネット検索をすると「毛沢東か蒋介石か=抗日戦争、誰が「主役」?-映画ポスターめぐり波紋・中国」という時事通信のニュースが引っかかってまいりました。

少し、記事の内容を引用します。

カイロ会談ではルーズベルト米大統領、チャーチル英首相、中華民国・国民政府の蒋介石主席が対日処理方針を討議してカイロ宣言を発表した。国共内戦に勝利して49年に中華人民共和国を建国した共産党の毛沢東はカイロ会談に参加していないが、ポスターではルーズベルト、チャーチルに加え、毛沢東と、同様に会談に参加していないソ連のスターリンの4人に扮(ふん)した俳優の写真が一組になっている。

どうやら、中国共産党側としては、建国の父である毛沢東を第二次世界大戦を主体的に繰り広げた人物として祭り上げたいようです。

日本に勝ったのは国民党か共産党か

しかし、記事内でも述べられていますが、当時の中国の代表は国民党の蒋介石でした。カイロ宣言など、諸々の宣言も蒋介石の名義で出ています。ただ、国民党の枠組みで行くと、系統としては、現在の台湾政府がその流れに入ってくるわけです。

その点で、国民党の馬英九総統は中国共産党のプロパカンダに対して抗議をしているニュースもリリースされています。

ここで、注目したいのは、国民党側と共産党側で問題になっているのは、「誰が日本と戦い勝利を手にしたか」という問題です。

結論から言えば、第二次世界大戦に勝ったのは国民党であります。

というか、カイロ宣言の文言の中に、中国共産党は一文字足りとも出てこないわけです。

全文のリンクはこちらになります。

ただ、このカイロ宣言に中国共産党政府が固執している理由は、1972年に出された日中共同声明によるところが大きいわけです。

→ 次ページ「中国共産党が「カイロ宣言」を持ち出すロジック」を読む

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西部邁

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