橋下徹VS藤井聡~デタラメだらけの大阪都構想議論~

【事実5】
特別区の人口比は東京は「7割」でも大阪では「たった3割」。

大阪府の予算分配は大阪府内での民主的な議論や手続きによって決定されます。しかし、東京の場合は仮に東京市を解体したとしても、特別区に住んでいる住民の数が多数派であるので、東京都内の23の特別区の財源を民主的手続きに則って特別区に優先的に分配することが可能ですが、大阪の場合、大阪市の住民や府議会に占める大阪市の議員の数は3割と少数派なので、民主的な手続きに則って、それまでの大阪市の税金を新たな特別区に優先的に分配し続けていくことが極めて困難であり、最低限そのために特別な特別会計を用意する必要があるのですが、もし、それをするなら、大阪都構想の当初の目的であった2重行政の解消は不可能になります。なにしろ大阪府の行政の中に特別区のための別枠の行政権限を持たせる必要があるのですから、さらに5つの特別区一つ一つの行政権限と大阪府の権限、さらに、特別区の住民の税金を集める特別の権限を確保するなら、今回の大阪都構想は2重行政の解消どころか、6重行政7重行政の新たな発生になります。

【事実6】
東京23区の人々は,「東京市」が無いせいで「損」をしています。

つまるところ政令市を解体し、大阪市の税金と予算権限を大阪府に移譲するとはどういうことなのか?国家を考えるといいかもしれません。たとえば、日本をいくつかの特別州に解体するという、日本道州地区構想なるものがあったとします。それまでは、日本は国家主権という格別の権限により日本人の税金はほとんどが日本と日本人のために使われてきました。それを、日本道州地区構想では、日本を複数の特別州に分割して日本の国家主権を解体するとします。そして、それまでの日本政府はなくなり州政府が管理することになり、さらに日本人の税金の予算の一部を東アジア共同体政府に移譲するとします。さて、ここでまともな日本人ならどう反応するでしょうか?

当然ながら、「何故俺たち日本人の税金が中国や韓国のために使わなければいけないんだ?!ふざけるな!!」となるでしょう。しかし、東アジア共同体政府は「いや、安心してください。予算権限が日本政府から東アジア共同体政府に移行するだけであって、きちんとその予算は日本と日本人のために使いますから」と説明するでしょうが、おそらくそんな説明をされたところで、ほとんどの日本人は「ふざけるな!!そんな話が信用できるか!!」と怒り狂うでしょう。もちろん、国内と国外では話が違ってくる点が多いのも事実ですが、概ね今回の都構想はそのような関係性にあります。

【事実7】
東京の繁栄は「都」という仕組みのせいでなく、「一極集中」の賜(たまもの)です。

そもそも、大阪都構想の根底には、「東京は首都としてどんどん栄えていくのに、大阪は財政も悪化し衰退していく一方だ、このままではまずい、なんとかしなくては」という漠然とした危機意識があるように思います。しかし、仮に東京の行政システムの真似をして大阪をいくつかの特別区に分割しただけで、大阪も東京のように発展するということはありえません。何故なら、別に東京が発達してきたのは、東京の特別区という特殊な行政システムが理由ではないからです。

「ではなぜ,現在の「大阪市」は疲弊しているのに,現在の東京23区が豊かなのかと言えば───それは行政の仕組みの問題ではなく,そもそもの経済規模が全く違うのからなのです.

人口についても経済規模(GDP)についても,大阪市と東京23区との間には,実に四倍前後のもの巨大な格差があるのです.

これは,首都東京に,あらゆるモノが一極集中していることを示しています. これが,東京23区の豊かさの秘密です.

その豊かさは,「都と特別区」という制度によってもたらされたものなのではなく,「首都」という特殊な事情がもたらしたものだったのです.さらに言うならその豊かさは,「東京市」という政令市の保護システムがないせいで,自主財源が流出し,23区民が「損」をしたとしても余りあるほどの豊かさだった,という訳です.」

(『【藤井聡】大阪都構想:知っていてほしい7つの事実』 http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/01/27/fijii/より)

つまり、東京が栄えているのは人、モノ、カネ、サービスの集中が原因であるのですが、現在の大阪都構想では、そのような人、モノ、カネ、サービスを集約するための中心部への集中的な投資を、政令市という特別な保護システムを解体することによって分散させてしまうことになります。つまり、大阪都構想は東京の真似をすることで東京都同じような強みを手に入れるどころか、むしろ逆に予算を流出することによって、それまであった強みをますます失わせることになります。

なので、大阪都構想によって、突然様々な財源がどこからか湧き出てきて、その予算を使って住民サービスを充実させ、インフラ整備を強力に推し進めていくことで大阪が豊かになり活気を取り戻すことが出来るなんていうのは大嘘話なんですね。都構想の「と」は、トンデモの「と」だと思っていいと思います本当に。

長くなってしまったのですが、今後は、このような藤井聡教授の「事実の指摘」に対して、現大阪市長の橋下徹がどのように反論し、そしてその反論がどのように変遷していったのかについて解説していきます。

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西部邁

高木克俊

高木克俊会社員

投稿者プロフィール

1987年生。神奈川県出身。家業である流通会社で会社員をしながら、ブログ「超個人的美学2~このブログは「超個人的美学と題するブログ」ではありません」を運営し、政治・経済について、積極的な発信を行っている。

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