福田恆存は、あらまほしき大人の精神を持っている
最後にもうひとつ私の好きな福田恆存のエピソードを書き添えて筆(実際は携帯電話で書いています。正確に言えば、ボタンを連打するのを止めることにします。ですね。…いい加減パソコン買わねば…)を置くことにします。
米ソ両国の宇宙への挑戦競争華やかなりし頃、人間衛星船(宇宙ステーションかなと思います)の話題で賑やかなある日、ある編集者が福田に電話を掛けてきて「ご感想を」と切り出します。それに対し福田は“ない”と断り、重ねて編集者が「驚かないですか」福田は「驚きません」と返し「人生観を変えなければいけないと思いませんか」と編集者に熱っぽく捲し立てられた。ということがあったそうで、福田は後に「宇宙飛行が可能になった。そんなことで変わる人生観があるということが私の人生観を変える。私が自分の小さいことを感じたいなら何も宇宙くんだりまで行く必要はなく、自分のうちの足で裏山に上って太平洋を見れば充分感じられる、いや、一本の百合の花を観ることで充分だ」というようなことを述べているのです。
福田恆存は、私があらまほしき大人の精神を持っていると考えるとても魅力的な人です。かくいう私は、福田のいうところの「主人持ち」になってしまわないかヒヤヒヤしながら、福田恆存の本の頁を一枚一枚繰っているのです。しかし福田恆存の文章や考えが、我々に膝を打つ気分にさせてくれるという世の中に生まれついたということは、まあ不幸であったと同時にまた、流言や大声に惑わされることなく考えることが重要である時代なんだなと感じ、自分の友達や家族ぐらいは安易な○○主義に陥らず、考える人になる切っ掛けをお互い与え合いながら日々の生活を送りたいと、強く念じる今日この頃です。
今回はざっと紹介程度でしたが、いずれまた福田恆存について皆さんにお話ししたいと考えています。この記事が一人でも多く福田恆存に興味をもつ人を増やせたらいいなと願っています。それではまた。
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