今、台湾どうなってるの?台湾事情通がすっきり解説
- 2014/11/17
- 国際, 社会
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父・連戦の目的は中国利権の保持か?
また、国民党の支持層からも柯文哲の支持者が出ているのは、台湾の対中国姿勢も関係があるだろう。
馬英九総統は、その拙速な中国傾斜の政策のために、支持率9%になっているが、連勝文の父親、連戦といえば、国民党と中国共産党を結ぶパイプ役として知られている。習近平にとってみれば、台湾と接近するための便利な男といったところだろうか。連戦は、長男の勝文が台北市長戦に出ると決まったあとの今年2月、勝文を連れて北京へと渡り、ご報告よろしく習近平に息子・勝文を会わせている。
中国共産党といえば、国民党にとってはかつての天敵である。この連戦の行動に嫌悪感をもつ者がいても不思議ではない。
台北の市長選はこれからの日台関係に大きく影響する
台湾の首都・台北の市長選挙は、総統選挙の前哨戦といわれるほどの重みをもっている。連勝文が当選すれば、台湾の中国傾斜はさらに進む方向に動くだろう。台北のランドマーク・台北101では、今や中国企業のオフィスがずらりと並んでいるようなぐあいだが、こうしたことが台北市内で加速的に起こるかもしれない。
さらには、2016年の総統選挙や、またその後の総統の施策への影響も考えられるだろう。
経済的にもあるいは文化的な交流などにも、台湾とは関係の深い日本にとってみれば、台湾の中国傾斜が望ましいわけはない。
ここは一つ、選挙のゆくえを日本人も注視すべきというところだろう。また、台湾のおかれた状況は、どこか現在の日本の状況に酷似する点がある。そういった点でも学ぶ点は多い。
柯文哲候補は、いま10ポイント以上のリードを保っているが、資金の豊富な連家が打つ手によっては、まだ決定的とはいえない。
さらには、見えないところでは、中国共産党が連勝文当選のための工作をしているとの噂も飛んでいる。まったく証拠のようなものは見えないのだが、噂は消えることがないのが不気味でもある。
今回の統一地方選には大きなパラダイムシフトの予感
ところで、11月29日の台北市長選挙は、「九合一」といわれる統一地方選挙のうちの一つである。細かく説明している余裕はないが、選挙は、直轄市とされる台北や高雄などの6大都市の市長とその市会議員、県市の市長とその議会議員、郷鎮市長とその市民代表、村里長、そして直轄市の原住民区長とその区民代表という9つの選挙が同時に行われるので「九合一」といわれている。
この「九合一選挙」は、全体でも台湾の行方を占うものになるだろうが、台北市のほかに、新北市と台南市の直轄市長選挙も大いに注目される。新北市は国民党の朱立倫、台南市は民進党の頼清徳の当選がほぼ確実だが、この2人は、2016年の総統選挙で、それぞれの党の候補者になることが有力視されている。2位の他党候補をどれだけ引き離して当選するかが、見どころだろう。
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