こんにちは、ベンチャーサポート社会保険労務士の門山です。今回は労務関係のお役立ち情報をお伝えさせてもらいます。今日のテーマは「採用の際にすべきこと」についてです。

事業が軌道に乗ってくると仕事量も増え、社長一人では業務が廻らなくなります。そうなるといよいよ従業員を雇うことになりますね。会社としてもさらなる飛躍のための大事なステップです。嬉しいことですが、はじめて従業員さんを雇うとなると何かと心配が出るものです。

「採用するときはどんな手続きをしたらいいのだろう？」
「仕事ができない人だったらどうしよう。クビにできるのかな？」
「残業代はどうするのだろう？」
「有給休暇は与えないといけないのかな？」
「給与明細の作り方は？就業規則とかもいるの？労働者名簿って何？」

このように色々な心配が出てくるものです。「人」周りについて、知っておかなければいけないことをお伝えしたいと思います。実は結構たくさんあります（汗）

１．厚生年金保険・健康保険に関する加入の手続き
２．雇用保険に関する加入の手続き
３．住民税の特別徴収の手続き
４．労働条件通知書の作成
５．労働者名簿の作成
６．賃金台帳の作成

以下、簡単に説明させていただきますね。

１の厚生年金保険と健康保険は「資格取得届」を年金事務所へ提出します。加入される方に扶養親族がいらっしゃる場合には「健康保険被扶養者異動届」という書類も必要になります。

次は２の雇用保険についてです。雇用保険は「資格取得届」をハローワークへ提出します。その際に「雇用保険被保険者証（番号）」も必要になります。ちなみに労災保険に関しては採用時には手続きが発生しません。

では３の「住民税の特別徴収の手続き」についてです。もし会社が特別徴収（会社が給与から天引きして会社が本人の代わりに納める方法）を採用しているのであれば、市役所に「給与所得者異動届出書」を提出しなければいけません。

４の「労働条件通知書の作成」についてです。労働条件通知書には最低限記載しないといけない６つの要項があります。
・労働契約の期間
・給与の額、締めの時期、支払時期
・勤務場所と仕事内容
・就業時間（始業時間と終業時間）と残業の有無
・解雇の事由
・休憩時間や休日・休暇に関する事項
この６つの内容が盛り込まれた「労働条件通知書」を、新入社員の方へ書面交付をしておくようにしましょう。

５の「労働者名簿の作成」についてです。労働者名簿とは以下の８つを記載した名簿を言います。
１．氏名
２．生年月日
３．性別
４．住所
５．業務内容（労働者の数が３０人未満の場合は記載しなくても構いません）
６．入社年月日
７．退職（解雇）の年月日とその理由
８．死亡の年月日とその原因
こちらも労働基準法で設置が義務付けられており、労働基準監督署の調査でも必ずチェックされる書類ですので不備のないようにして下さい。

最後に６「賃金台帳の作成」についてです。賃金台帳も労働基準法で設置が義務付けられており、次の内容を記載する必要があります。
１．氏名
２．性別
３．賃金の計算期間
４．労働日数
５．労働時間数
６．時間外労働、休日労働、深夜労働を行った時間数
７．基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
８．賃金の一部を控除した場合はその額
賃金台帳は労働基準法により、原則は３年間保存することになっています。最近は労働基準監督署の調査も多くなり、労働者保護の社会的な機運が高まっています。

リスクをなるべく減らして、後で後悔しないようにしっかりと備え付けをすることをお勧めいたします。