今後の税金がわかる税制改正大綱を簡単解説します。

ベンチャーサポート税理士法人の森です。あけましておめでとうございます、今年もどうぞよろしくお願いします。

いよいよ新年になって、皆様本格稼働が始まっているものと思います。今回は今後の税制改正につながる、「税制改正大綱」についてお伝えします。年末ギリギリの30日に自民党の税制改正大綱が発表されました。例年はクリスマス前後に発表されることが多いので、今回は少し遅かったようです。

この自民党税制改正大綱というものは、「年明けに国会で審議する税制改正の法案のドラフト」としての位置づけのもので、まだ法律になったわけではありません。

あくまで原案です。

ですが、与党で過半数を占めている現在の国会の状況を考えますと、ほぼ法律になっていくものと思って差し支えありません。ですので、新聞やニュースなどで大きく報道がされるわけです。

さて、今年の税制改正大綱の中で、経営者が知っておかないといけない内容をピックアップしてお伝えさせていただきます。

「新聞を読んだけど内容が多すぎてよくわからない」という経営者の方も多いと思いますので、わかりやすい表現で、ポイントを4つに絞ってみました。

法人税の実効税率が下がりそうです。

今年の税制改正大綱の目玉はなんと言っても、法人税の減税案でしょう。

現在、34.62%(東京は35.64%)の法人税の税率を2015年度に2.51%、2016年度に3.29%引き下げようという減税案が出ています。さらに今後の方向性としては、税率を20%代まで引き下げる方向です。

ただし単なる減税になってしまうと税収が減ってしまい、日本の大きな課題である「財政健全化」ができません。そこで代替案に出てきているのが「外形標準課税の強化」という増税案です。ちょっと難しい言葉が出てきましたね、ですが心配しないでください。

これは資本金1億円を超える大企業にのみ課税されるものです。さらに資本金1億円を超える大企業は、過去の赤字を繰り越して将来の利益と相殺する「繰越欠損金の控除」にも制限が入ります。今回は大企業向けの増税とバーターにするようです。

将来的に税率を20%代に引き下げるとなると、そのときには中小企業へのなんらかの課税強化がされる可能性が高くなりますので注目が必要です。

消費税の増税時期が確定しそうです。その対策として贈与税の非課税枠が広がります。

この内容はニュースなどでも再三取り上げられた内容ですので、ご存じの方も多いと思います。2017年4月に消費税の税率を10%に引き上げる予定です。

今回は景気が悪かったとしても延期はしない構えです。ただし、昨年の消費税増税の後に景気が悪くなりました。特に住宅の着工数が大幅減少したことから、次回の増税のタイミングでは対策として住宅購入時の贈与税の非課税の枠を大きくするという対策を考えています。

現在、最大1000万円まで住宅取得の際に贈与税を非課税にする制度があります。この非課税の枠を2017年4月の増税のタイミングに合わせて、3000万まで拡大しようとしています。高齢者から若者へ資産移転を促す税制ですね。

配偶者控除の見直しは先送りされました

ここ数年、ずっと話題に上がっているのが「配偶者控除」です。いわゆる“103万円の壁”と言われるもので、「奥様の年収が103万円を超えると旦那さんの扶養に入れなくなる」という話をよく耳にします。

この「扶養に入る」という意味は、「配偶者控除を受ける」という意味ですそこで配偶者控除という制度ごと無くしてしまえば、世間の奥様が103万円の壁を意識せずに働けるだろう、と考えられています。

ただ、これは所得税の増税と同じ意味です。さらに“103万の壁”を超えたら、次は“130万の壁”と言われる社会保険の扶養のラインがあります。こういったデメリット面も考えて判断したいですね。

ひっそりと海外発のネット配信に消費税が課税されそうです

あまり大きなニュースにはなっていないようですが、海外からのネット配信に消費税が課税される方向です。アマゾンからの電子書籍ダウンロードが代表的なサービスです。現在は、日本でダウンロードをしても消費税が課税されていませんが、今後は消費税を課すことになりそうです。

これは国内の出版業界から長い間、国内企業が競争上不利になっているという指摘があり、それに対する措置です。2015年10月からは消費税を課税する方向のようです。

今回は年末に発表された自民党の税制改正大綱の内容についてお伝えしました。この大綱に沿う形で、今から国会で審議がされていきます。最終的にどういった法律になるかを見届けておきたいと思います。

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西部邁

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