ポケモンGOとテロリズムから考える新時代のボーダレスワールドの構想

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ポケモンGOは新世界秩序の象徴?!

先日、世界中で社会現象となっていた任天堂のスマホゲーム『ポケモンGO』がついに日本でもリリースされました。

(『日本でポケモンGOの配信開始!』http://www.appbank.net/2016/07/22/iphone-application/1228907.php

そんな中で、一部の陰謀論フリークの間では早速「ポケモンは巨大企業による人類支配の序章であり、最終目的は全人類の奴隷化と新世界秩序の形成である!!」なーんてお決まりの陰謀論も囁かれています。

(『「ポケモンGO」は“全人類奴隷化”に向けての監視装置である可能性が浮上! すべての情報はCIAに送られている!?』http://tocana.jp/2016/07/post_10388.html

ピカチュウが世界を支配し、全人類を家畜化する?!

まあ、任天堂やグーグルが新世界秩序の形成や全人類の家畜化を目論んでいるかはともかくとして、確かにポケモンGOというゲームは現在の世界のある種の現象を象徴しているように思えます。

実は先日、NHKの『歴史秘話ヒストリア』という番組でで大阪万博の特集をやっていたのですが、この万博のテーマは人類の調和だったそうな。今聞くと如何にも陳腐なテーマに聴こえますが、この時代としては産業見本市としての性質を持っていたそれまでの万博から一線を画する画期的なテーマ設定だったそうです。

大阪万博は1970年に開催されましたが当時はベトナム戦争の真っ最中であり、番組でも「当時はベトナム戦争を多くの死者を出す時代でした云々・・・」との解説がなされていました。

しかし、この説明を聞いて違和感を覚えたのが、「当時は戦争で多くの死者を出したなどと言っても、別にそれは遠い昔の穴市ではなくてまさに現在進行形で戦争も起こってるし大量の死者も出続けているのに・・・」という点です。ですが、また同時にやはり現在と当時の時代の戦争とは全く違った性質を持っているなとも感じました。

ニューボーダレスワールドの時代へ

当時の戦争はまさに、「ベトナムVSアメリカ」もしくは、「共産国家群VS資本主義国家群」という「国家対国家」という性質を色濃く残していました。先の万博の「調和」というテーマも、このような国家間の対立を超克することを目的として定められたものなのでしょう。このような国家対国家の対立における戦争というものは、悲惨ではありますが、国家によって制限されたある意味で管理された争いであったと言えます。戦争は戦地で起こり、戦争当事国は特定され、一応建て前としては国家が定めた兵士という戦闘員が存在し、非戦闘員は戦闘から隔離されていました。

しかし、現在の戦争は国境を超えた内戦と、グローバルなテロリズムの時代であり、このような時代における戦争はまさに無秩序の様相を呈します。国境を超えた民族間の対立においてはそれを管理できる政府は不在であり、テロを起こすのは軍人でなければ敵国の人間だとすら限りません。つまり、現在の戦争は国家と国家の対立をある意味で超越したカタチで無秩序へと変遷しているのです。

グローバルな内戦においては、当然無秩序であり、またテロリズムは戦地と非戦闘地域の区分を消し去りました。さらにテロリストは特別な訓練を受けた戦闘員であるとは限らず標的も軍人ではなく一般民衆です、つまりテロとの戦いにおいては戦闘員と非戦闘員の区分すら消し去ってしまったのです。まさに調和という名のカオス(混沌)と言ってよいでしょう。

『ポケモンGO』は現実世界とゲームの世界との区分を消し去った?!

ここで、ようやく最初の『ポケモンGO』の話に戻るのですが、『ポケモンGO』は、さらにこのようなカオスの時代ボーダレスの時代に新たなカオスをもたらしたと考えられます。ARの技術を使って、街中にポケモンが現れるようになったことで今度は現実世界とゲームの世界の区分を消し去りました。

『ポケモンGO』は、早速プレイ中に車にひかれたり、私有地に入った青年が銃殺されるなどの事件も起こっていますが、ゲームの世界に入り込みながら、現実に車にひかれたり、銃殺されたりしているワケです。

イスラム原理主義は神の世界と現実世界の区分を消す教えである

最後に、再びテロの話に戻ります。皆さんは、世界中にこれだけ沢山の宗教があるのに、自爆テロなどの過激な宗教テロを行うのがイスラム教だけであることに疑問を抱かないでしょうか(オウム事件は今回除外します)。

私の考えでは、イスラムの教えとテロは密接に関連しています。基本的にキリスト教などは世俗の世界や世俗の権威と神の世界や現世を超越した道徳規範などを分離させています。「カエサルのものはカエサルに、神のものは神に返しなさい」という言葉が象徴していますが、キリスト教においては神の教えや世俗を超越した道徳規範と、現実世界の制度や秩序、権力を分離しているのですが、イスラムの教えにおいてはこの世の中は神が作ったモノであり、この世の中の権威も神の教えのもとに服するべきだと考えます。ですので、キリスト教では「王の統治は神の教えに反している!!」などといって宗教的な革命を行うことは稀であるのに対して、イスラム教においては、常に神の教えに反する権力や現行秩序に対しての攻撃性を潜在させているのです。つまり、キリスト教とは違いイスラム教においては「神の教えは神の教えで、現実の法律や秩序はそれとは別の次元で守り、尊重しなくてはならない」などとは考えずに、「神の教えに従わないとはけしからーん!!」となるワケですね。そこで、神の教えに従わないけしからん権力や秩序に対してテロというカタチで実際に攻撃を行います。

では、「何故そのような宗教テロが近年において急に多発するようになったのか?」と考えると、なかなか難しい問題になってしまうのでここでは扱えないのですが、現在の世界の様々な混乱を「ボーダレスワールド、あるいは調和と統合が招いた新たなる無秩序である」と考えると、様々な物事がスッキリと整理されて見えてくるのではないかと思います。

西部邁

高木克俊

高木克俊会社員

投稿者プロフィール

1987年生。神奈川県出身。家業である流通会社で会社員をしながら、ブログ「超個人的美学2~このブログは「超個人的美学と題するブログ」ではありません」を運営し、政治・経済について、積極的な発信を行っている。

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