フラッシュバック 90s【Report.28】男女平等社会・家事の外注化が進んだ90年代の結果は保育所難民?

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「保育園落ちた日本死ね!」

2月頃話題になったあるブログの文章です。概要は以下の記事に掲載されています。

「保育園落ちた日本死ね!」 匿名ブロガーに記者接触

事の顛末は、あるブロガーの方が、働くために子どもを保育園に預けようとしたところ、保育園に見事に落ちたと。そして、このように主張しているわけです。

何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか

このブログ、結構話題になり、野党によって安倍首相への質問でも取り上げられました。暗に、一億総活躍社会とう題目を語りつつも、保育所の待機児童問題すら解決できていないことへの強烈なアイロニーといったところです。

男女共同参画が本格的に実現した90年代

90年代といえば、男女共同参画社会が本格的に始まった時代でもあります。

まず、社会の数字の変化として、兼業主婦世帯数が専業主婦世帯数を上回ったのが、1992年で、その後、数字の上下はありますが、専業主婦世帯が減少し、兼業主婦世帯が増加した傾向にあります。

つまり、90年代を通じてのトレンドは、結婚後も女性が家庭一辺倒になるのではなく、仕事を持ちながら、家庭や子育てを行っていくスタイルだったわけです。

現在、周囲を見渡すと、専業主婦を探すのが難しいぐらい、世の中の女性は仕事を持っておられます。もちろん、私の周囲が社会のマジョリティとは思わないのですが、現在、子ども会やPTAといった、保護者が担い手となってきた地域組織は成り手がおらず、形骸化が進み、場合によっては活動休止に追いやられることもあるようです。

男女共同参画基本法が定義した家庭のあり方

1998年に施行された男女共同参画基本法を見ると、家庭については下記の様に条文で書かれています。

(家庭生活における活動と他の活動の両立)
第6条 男女共同参画社会の形成は,家族を構成する男女が,相互の協力と社会の支援の下に,子の養育,家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし,かつ,当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として,行われなければならない。

お役所言葉で解読が難しいところもあるのですが、私なりに読み下すと以下のような感じです。

家庭に生活に必要な子育てや介護、その他もろもろに関しては基本的に家族を構成する男女(恐らく夫婦)が責任を持って行うんだけれども、男女共同参画社会においてそれが実現できるように、社会は作られないといけない。
ちなみに、この法律は「国,地方公共団体及び国民の責務を明らかにする」とされているので、家族を構成する男女が家庭生活を行うことが円滑にできるように行政だけでなく、国民にも責務を与えようというわけです。

この文言をストレートに解釈すれば、家庭生活の最終責任は社会が担うといったことになるわけです。

→ 次ページ「子育て・家事の外注が始まった90年代以降」を読む

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西部邁

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