偉大な経営者を知る
百田尚樹にすっかりはまっています。『永遠の0』『影法師』『モンスター』『ボックス!』・・・どの作品も同じ作者が書いたとは思えないほどバリエーションに富んでますよね。
中でも好きなのは2013年のベストセラー小説『海賊とよばれた男』です。好きすぎて、原作のモデルとなった出光興産の創業者 出光佐三の他の本を読んだり、門司の出光美術館にも行ったくらいです。
出光氏は1885年に生まれ、1981年に亡くなっています。僕が生まれたのが(関連付けるのおおこがましいですが・・)1982年です。ちょうど「世代論」というテーマでASREADの特集記事を書く必要性が出てきたので、本記事では偉大な経営者である出光佐三を例に、現代の会社経営にして触れてみたいと思います。
出光佐三の生き様
出光佐三の人生は波瀾万丈です。
戦後の混乱期は、出光興産の主力商品である石油はGHQによって輸入禁止となっていました。製油所の操業も止められていたので石油でまともな商売が成り立つ時代ではなかったわけです。そんな中、重役たちは人員整理を進言します。当然といえば当然です。
しかし、出光佐三は約1000人の従業員を誰一人クビにすることはしませんでした。それどころか、自らの財産を躊躇なく売り払い、それでもダメなら「店員たちとともに乞食をする」とまで言ってのけたわけです。「人間尊重」とはよく言いますが、ここまで覚悟のある経営者はそういません。
この男らしい経営者像は僕が若い頃に漠然と描いていた理想像でした。その理想像にあこがれて経営者になったわけです。しかし、自分の人生を振り返ってみると、理想とはまったく程遠いものです。
自分のことはまぁいいとしても、こうも思うのです。今の時代、彼のような生き方は難しいんじゃないかと。理由は現代ではその理想像に近づこうとするほど利益を上げることが難しくなるからです。
ホリエモン的な考え方
2004,05年頃でしょうか。当時ホリエモンが世間を賑わしていて「金で買えないものはない」という価値観が幅広い世代で受け入れられていました。それに対しては正しい一面もありそうでない面も大いにあると思いますが、特に注目したのは、ホリエモンが書籍などで語っていた、利益を出すための次のような経営指南です。
・利益率の高い商売
・在庫をできるだけ持たない商売
・大資本の要らない商売
参照: 起業するという考え方
会社を存続させるには利益率が高いに越したことはありません。コストが掛からなくて始められる商売の方が良いでしょう。在庫を抱えずに済むならなお良いです。
自社で技術者や職人を抱えず、モノづくりは下請けにさせてしまえば、利益を上げられます。在庫を抱えない仕組みを作ってしまえば、リスクをさらに抑えられます。極端な話、マーケティング部門以外はアウトソーシングしてしまえばいいのです。
でも、結局は誰かがモノを作らなければなりませんし、利益率が低かろうが必要な産業はあります。ですから、ホリエモン的な考え方は、誰かの努力(犠牲)の上に成り立つ成功と言えますし、みんな同じことをすればすぐに成り立たなるのです。つまり、言い方を悪くすれば、目先のことしか考えていないわけです。
自分なりの生き方
とは言っても、直近の利益を追求すること自体を全面的に否定することはできません。長期的なビジョンももちろん必要ですが、実際に経営に携わってみると、目の前のこともやはり大事なのです。
会社が倒産すれば多くの従業員を露頭に迷わすことになります。従業員だけでなく、その家族の人生まで影響を及ぼすことになるでしょう。その責任は重大です。だから、自分や仲間たちの生活を守るために、ホリエモン的な考えに至ることも自然なことではないでしょうか。
世の中を見渡してみると、様々な人がいることが分かります。利益率が高いだけで事業を興す人がいる一方で、必死に良いモノを生み出そうと頑張っている人もいます。うまく在庫を持たないようにしている人がいる一方で、在庫を抱えて四苦八苦している人もいます。大資本の要らない商売をしている人も、大資本を動かして商売している人もいます。
出光佐三にはなれないとしても、僕の中には彼に共感するところがあります。一方で、ホリエモンの考え方にも一理あると思ってしまうことがあります。理想像がありながら、現実に打ちのめされたりしているのです。
そんな理想と現実の間で右往左往しながら、自分なりに納得のできる生き方を探していこうと思います。
コメント
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出光佐三氏のような理念経営を実践されている会社の話なのですが、中身も感涙エピソードがてんこ盛りです。
書籍名「日本で一番大切にしたい会社」著者は坂本光司さんで法政大学の教授です。
理念経営の実践者は存在しています!!
私もそのような運営方針を実践しようとしています。