フラッシュバック 90s【Report.26】小選挙区制で崩壊した日本の政治
- 2016/3/1
- 政治, 社会
- 90s, feature3
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メディアの読みどおりになる選挙結果
私が大学2回生のころ、第1次安倍政権下における参議院選挙が行われました。その際、民主党が自民党をしのいだ記憶があり、事前予想通りの結果となりました。
その際、佐伯先生はこのようなことを語られていました。
昔は、新聞やテレビの報道で、自民党有利といったような情報が出ると意外と苦戦したりしていたんだけどね。最近は選挙では、事前の報道どおりか、それ以上の差がつく結果がとても多い
当時の私は、この内容を深く考えていませんでしたが、今考えると非常に大事なことを先生が示唆されていたのだと思います。
勝ち馬症候群と議会政治の崩壊
私の知り合いが投票する候補者を入れる基準として、「死票は入れたくない!」というものが1人だけでなく、あちらこちらにおりました。
専門的な言葉で言えば、「バンドワゴン」ということになります。要は勝ち馬に乗ることが目的の有権者が増え、勝ち馬か否かの判断は、「勝ちそうかどうか」といった「ムード」に左右されるわけです。
小選挙区と比例代表制はその「ムード」で選ばれる傾向をより強めたといえるでしょう。
そもそも、小選挙区と比例代表性が平行して取り入れられた狙いは、小選挙区では「死票」が多くなってしまい、民意を完全に反映することは出来ないがゆえに、別途政党別の得票数を元にして、民意を適切に反映させようというものでした。
ただし、その仮説はどこまでも有権者が明確な支持政党や政治的理念といったものを持っていることを前提としています。その前提を脆くも崩したのが、そもそも「死票」を投じたくないという有権者の考えでした。
そうすると、民意を反映するはずの議席数はどこまでも時代のムードを反映するだけに過ぎず、選挙をした翌日には民意はその議席数とはまったく違ったものになっている可能性もあるわけです。そうすると、安定的な議会運営などは不可能になってきます。
小選挙区制度で安定的制度を築いた小泉政権
90年代末、橋本内閣も小渕内閣も短命で終わりました。小渕内閣は首相の早逝ということもありましたが、本来、小選挙区制度を取り入れた政権では長期政権は維持しづらいのです。
では、小泉内閣はどうして長期政権となったのか。そこには、90年代を通じてふつふつと沸いた、「ニューライト」と「改革派」が原動力となるエネルギーを作り出していったわけです。
支持母体も実態が明らかでない小泉政権は、宮崎哲弥に言わせると、「自民党の蜃気楼」といえます。そして、その運営方法をよくもわるくも受け継いでいるのが、今日の安倍政権なわけです。
※第27回「フラッシュバック 90s【Report.27】放送法違反による電波停止の読み上げで騒いでいる今のメディアの体たらく」はコチラ
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