SEALDsは意識高い系オシャンティーデモでした~SEALDsデモに走る若者はテロリスト予備軍ではありません!!~
- 2015/12/8
- 社会
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結局、SEALDsは意識高い系のオシャンティーデモ?
もちろん、SEALDsメンバーだって普通の人間ですので、先崎氏の指摘するように様々な不安や不満、あるいは劣等感を抱いていることでしょう。ただし、そんなものは人間であれば誰しもある程度抱くものであり、SEALDsメンバーの抱く劣等感などというものは、そのような誰もが抱くであろう劣等感の域を超えたものではないでしょう。
先に、SEALDsデモはどちらかというとオキュパイウォールストリート運動に近いと述べましたが、アメリカのジョージ・メイソン大学教授のタイラー・コーエン氏は『大格差: 機械の知能は仕事と所得をどう変えるか』という著書の中でオキュパイウォールストリート運動に関して次のように述べています。
ウォール街オキュパイ運動に最も引きつけられたのは、中・上流層の高学歴の若者たちだった。とくに高所得の職や、将来に所得を増やせる余地がある職に就くチャンスが乏しいリベラルアーツ専攻の人たちが運動にのめり込んだ。だが、この運動は、ニュージャージー州エリザベスの港湾施設で働く人たちや、経済が低迷しているオハイオ州のアパラチア山脈地域の住民、宗教上の理由で子どもを学校にやらずに自宅で教育しているアイダホ州の住民などにも支持が広がるような全米規模の現象にはなっていない。(中略)
それにしても、どうしてこれほど多くの比較的裕福な知識層が、富裕層の恵まれた生活を批判する先頭に立っているのだろう?もしかすると、「知性」という社会的地位の源泉を持っている富裕層は、社会における敬意を奪い合う関係にあるからなのかもしれない。少なくともアメリカでは、社会的地位の源泉として強力なのは知性より富だ。富裕層とセレブの恵まれた生活に知識層が反発する最大の理由はここにあるのかもしれない。(引用)
このような見方は、先崎氏の指摘するような、SEALDsデモに参加する若者がテロリストに近い性質を持つという見方とは相当に異なります。
また、例えば中東などと比較した場合、アメリカは高齢者層が多く、血気盛んな若者の数が減少していることから、過激な革命思想に染まる人の数は限定され、アメリカでは多くの人々は今後現状維持を好む保守層や穏健な中道派が増加し、リベラルや過激派の支持層の伸びは限定的にとどまるであろうと予測していますが、これは日本でも全く同様に当てはまるでしょう。消費税増税を8%に引き上げ、経済をマイナス成長に落としても解散総選挙では保守政党である自民党が圧勝し、安保法制にあれだけ反対運動が起こっても、数週間、あるいは数日もすれば安倍政権の支持率はすっかり回復しています。
このような状況で冷静に観察するのなら、今後は中長期の傾向としてリベラルにとって冬の時代が続き、長期の経済停滞や雇用不安、あるいは格差の拡大が起こっても、なお人々は現状維持好みますます保守化していくでしょう。
これが良い傾向であるか、悪い傾向であるかは判断の分かれるところでしょうが、今後の中長期の国内の社会情勢を考える上で、このような見方をしておくことは妥当であり、かつ重要であるとも思います。
追記
こちらの記事を書いた後に、先崎氏のTwitterを見てみたところ、どうやら、これは11月27日に奈良で行われた「正論」懇話会の第63回講演会の内容が先崎氏の知らない間にデジタル版の記事にされていたそうです。以下、先崎氏のTwitterを引用します。
先崎彰容 @SALOME_1975 11月27日
友人から指摘を受け、本日の講演内容が、すでにいきなりデジタル化している事実を知る。就寝したいのだが、この記事掲載にかなりの「違和感」を禁じ得ないので、説明を付す。
まず、小生が「攻撃的な言葉」を発することに、一番嫌悪を感じているにも関わらず、タイトルやサブタイトルが顕著に攻撃的なのは論外である。これでは、あたかも「若者たちは劣等感の塊りであり、だからダメなのだ」という論調、というのも憚られる罵声に過ぎない。くり返す。筆者はこのような他者批判を絶対に拒絶する者だ。
あえて表題を訂正すれば、「若者たちがなぜ、今回、このような行動に出たのか。それを冷静に「診察」することは、単なるデモ肯定/否定論の二元論に陥らない、「時代診察」になるだろう」という事になる。
そう、簡単に要約などできないことを、論じたのだ。
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