GDPが爆増。小さな漁村から「中国第4の都市」に変貌した街とは?

半年ほど前に深センの企業から買ったカメラジンバルが、当初あまりに酷かったので送り返すと、数週間後に違う商品が届き、その数ヶ月後にはまったく別の新型に交換するような出来事が2回ほどありました。

この未完成のままリリースし、クレームをものともしないで対応し(時には無視し)、場合によってはハードウエアのアップデートをする「ものづくり」は、世界でこの町だけだと思います。すなわち、デジタル時代のソフトウエアのバージョンアップのスピード感を、ハードウエアで行っているのが深センなのです。

ですので中国製品を購入する場合、製造工場と直接コンタクトが取れる状態を作っておくことが大切で、壊れているからといって諦めるのではなく、懲りずに徹底的にクレームを言い続けるのが大切です。

また、この町のルールは単純で、マネーです。心意気や職人気質や確実性、さらにはマーケティングも信用も関係ありません。儲かると思えば誰もが集まり、誰もが協力を惜しみません。そこに複雑な人間関係はほとんどなく、ある意味ビジネスライクでドライだと感じますが、そのぶんビジネスに集中することができるのも特徴です。東京のように江戸から連なる文化としがらみを持つような歴史がありませんので、モダーンビジネスシティとしてだけ機能することが可能なのです。

この歴史を持たない突如出現したモダーンビジネシティが、このあとどのようになっていくのか、まだわかりません。しかし、この町には今日も「スピード」と「変化を恐れない気持ち」があることだけは事実です。

1年から1年半に1度だけだった僕の深セン渡航は、今後もう少し増えるように思います。

『高城未来研究所「Future Report」』より一部抜粋

著者/高城剛(作家/クリエイティブ・ディレクター)
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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