施氏いわく、公共心、互いに支え合っている社会の中で生きているという精神をに中心に据えた教育が重要であると言えるでしょう。その為には歴史や地理、道徳などといった教科との 連携が重要であるとの意見は正論と言えます。祖国日本を知らずに行う政治論議も政治教育も無意味であることは言わずもがなです。そして、この施氏の見解に私なりの解釈を行えば、歴史教育においては「国體」が特に重要だと言えるのではないでしょうか。

　国體ーこの言葉を知る日本人は今では多くはありません。国體とは古く漢籍より「国家を組織する骨子」という意味とされ、言うなれば国家の基礎の基礎、背骨のような存在です。では我が国にとって国體は何か、それは古より続く万世一系の皇統にほかなりません。建国以来、一貫して続く皇統を学校で勉強することによって、日本の伝統、そして文化を身を以て感じることができるのではないでしょうか。そして、そういった伝統の中に我々は生きており、それを壊してはいけないという国民としての責任感が芽生えることで今の自分だけが楽であれば良いなどという俗物的な考え、人気投票と化した現在のポピュリズム政治と訣別することが可能となり、より高度な議会政治、選挙が可能になるのではないでしょうか。

　また、若き国民へ選挙、投票ということを学校で教えるならば、民主主義、デモクラシーの危険性も教えなければなりません。フランスの哲学者、政治家のトクヴィルが「アメリカの民主政治」で述べたように民主政治というものは「多数者の専制」です。それはワイマール共和政下でのナチス政権誕生を観ればわかりますし、また民主政治の名の下に大衆による衆愚政治に陥る危険性もあります。衆愚政治に関しては我が国の民主党政権、鳩山内閣誕生がその最たる事例と言えるでしょう。このように民主政治とは一見すると最善の政治制度のように見えても、その裏にはとてつもない危険性を孕んでいるということを将来の投票者に教えなければ、我が国でいつまた鳩山内閣のような内閣が生まれ、あるいはナチス政権のような全体主義政権が生まれるかわかりません。民主政治とは極めて危険な制度である。これを自覚させることは必須と言えるでしょう。

国家の命運と日本国民としての自覚

　若者は古くからの観念に囚われていないと言われます。それがプラスに働く場合もあるでしょうが、マイナスに働く場合も十分あります。伝統を知らない若者にいかに国民としての責任感と自覚を持たせるか、そのことで国家の未来は明るも暗くもなるでしょう。我が国の繁栄を永続のものとするためにも、学校における教育がどれほど大事か、そのことを政治家や官僚は嫌というほど、意識しなければなりません。そうしなければ教育は成り立たないでしょう。まして、政治という国家の命運に直結する事象を若者に教育することは公教育の中でも特に重要と言えます。そんな国家の命運に直結する政治教育は普遍的とされる個々の権利を網羅的に教えるだけではなく、そういった民主政治がいかに危険で脆い存在だと言うことを教え、かつ我が国の伝統、文化、歴史、道徳、そして、それらの伝統の中で我々は生きているということを自覚させる、言うなれば日本国民としての自覚を持たせる教育でなければ、国家の行末には亡国が待っているのではないでしょうか。