GDPが1997年以後、なぜ失速したかを解説

1997年、それはデフレの始まった年

筆者も1997年が一つの節目の年だったと思っている。

そこで、名目GDP及び公債残高(財政支出)の推移を1997年を中心にして前後17年を単純化して俯瞰すれば、次のようになる。

名目GDP(歴年)は、

1980年〜1997年の17年間で名目GDPは、242.8兆円→523.2兆円(プラス280.4兆円

であったのに対し、

1997年〜2014年の17年間での名目GDP(推定値)は、523.2兆円→483.2兆円(マイナス40兆円

です。

一方、財務省の資料(日本の財政を考える:公債残高の累増)によると、公債残高は、

1980年71兆円→1997年258兆円(187兆円増)→2014年780兆円(522兆円増)

となっている。

上記を要約すると次のようなことがわかる。

(1)1980~1997年の17年間で187兆円(258兆円-71兆円)の金(公債)を投じてGDPは280.4兆円増えて523.2兆円

になった。

だが、

(2)1997~2014年の17年間は522兆円(780兆円-258兆円)投じたがGDPは40兆円減少して483.2兆円

だった。

 マイナスの乗数効果という言葉があるのかどうか知らない(笑)が、結果はそのようになっている。1997~2014年の17年間は522兆円(財政出動)を投じたが、GDPは40兆円減少して483.2兆円になったことになります。

上記(2)の場合を養殖に例えて言えば、

 養殖(蓄養)池に523.2kgのマグロを池に入れて太らせるために522kgの餌料を与えたが、収獲したときは483.2kgに逆に減少していた(523.3kg→483.2kg)。

事業としてみれば、大きな損失を出し、明らかに失敗だったことになる。

 アベノミクスは、過去の内閣の失敗の上にさらに失敗(消費税8%)を重ねているのである・・・「三本の矢」ではなく「三本の失策」とちゃいますやろか(笑)。

 ちなみに、1997年は当時の橋本内閣が消費税率を3%→5%に上げた年であり、デフレ不況の始まりの起点になった年でもある、しかもこの間、国民所得が一貫して下がり続けた。結果として乗数効果が働かなかったと言えるのではないか。

 消費税の本質は、世の中に金が回転(乗数効果)することを止めるためのブレーキ装置<のようなもの、もしくは、乱用してはならない危険なバックギヤーと言ってさしつかえない。特に貧富の格差が拡大しているとき、こんな危ない装置を使って、特に意味のない均衡財政に達しようすること自体が間違っている。にも拘らず、財務省は何故消費税アップを企んだのだろうか。まさかこんな筈ではなかった、想定外だとは言わせない、財務省は確信犯だと思う。計算づくで消費税の増税を謀り、信じ難いことだが、デフレ維持政策をとったのだと思う。次回はそこのところについて述べたい。

蛇足:
 12/5の為替は1usドル120円を突破し、株価(日経平均)は1万7千920円でした。選挙相場でしょうか、選挙後はどう転ぶのでしょうか?

 長期にわたって国民所得を減少させて、その所得回復がないままに、今度は円安による物価高が庶民を襲い悲鳴をあげている。景気がよくて高株価になるのが本来の姿、現在の株価は異様な為替バブルでしょう?

 アベノミクスの株価は円相場に連動していることは、筆者のブログで何度か指摘した。現在の株価は「為替バブル」と違いますか。円が安くなったからと言って、それに応じて売上数量が伸びたわけではない、業績が回復したわけではない。単に為替変動(円安)によって、差益が出たというにすぎない。

 2年前の安倍政権成立時の為替レートが1usドル80円台でした、当時の日経平均は9000円台でした。これを原点にすると、現在の為替レートは120/80=1.5倍、株価は17920/9000=1.99倍になっている。この倍率は常に株価倍率>カワセ倍率が保たれている。

 誰が為替相場を動かしているのか考えてみてください。個人がインサイダー取引すれば、お縄ちょうだいします。某筋(外資)が為替を動かし→株価を動かしても、お咎めなし(苦笑)。

→ 前作「消費税増税の言い訳、実はコロコロ変わっている」を読む

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西部邁

いかりや爆

投稿者プロフィール

昭和10年生まれ、まもなく傘寿を迎える怒れる市井の老人です。現役時代は主として海外事業に携わり、経済の現場で為替に翻弄(固定相場の360円時代→プラザ合意→超円高)されたサラリーマン生活を送った。現在、ブログ「いかりや爆氏の毒独日記」を時折執筆中。

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