燃えオタ流・非モテ克服法とはー「燃え」は「非モテ」を救う?ー

そもそも何故「非モテ」に悩むのか?

 こうした問題の原因にはスクールカーストなどの現代的なものや美醜の問題など多々あれど、ひとつは携帯電話やインターネットなどの情報技術が発達しコミュニケーションが自由化されているからこそ生まれるのだろう。お見合い結婚よりも恋愛結婚が主流となる様な、コミュニケーションが自由化された社会とは、(コミュニケーション能力の)「強者」と「弱者」に分かれる格差社会とも言え、コミュニケーション弱者にとって厳しい社会ではある事は否めない。そうした社会では、確かに理不尽で行き場の無い怒りを感じる事もあるだろう。

 しかし、こうも考える。地方の農村の様な閉鎖社会で村八分にされるよりは、マシでは無いだろうか。「サタデー・ナイト・フィーバー (1977)」という映画がある。ジョン・トラボルタ演じるしがないペンキ工の青年トニーは行き場の無い青春のエネルギーをディスコで踊ることで発散させていた。トニーだけでなく、この映画の登場人物は「地方でくすぶっている若者」達ばかりだったが、彼らが「変わりばえのしない退屈な街」と嫌悪するブルックリンの対比として描かれる華やかなマンハッタンという街は橋をひとつ隔てただけの距離に過ぎなかった様に、場所を変えるだけで自分を取り巻く世界が変わることもあるのではないか。

 実際に私もそうだった。私は「学校」という空間で人間関係に恵まれた事が無かった。友人も少なく、そんな状態では恋人なども出来ようはずが無い。ところが十代も後半になり、地元を離れ、自由に外のコミュニティへ足を運べるようになった途端友人にも恵まれ恋人も出来るようになった。逆に地元に閉じこもっていたら、現在でも童貞のままであっただろう。(最も、現在は地元に戻っているので恋人をつくれる気配は全く無いのだが(笑))

 ひと昔前の漫画や小説でも、学校では日陰者とし描かれる人物が、放課後、学校の外の世界では仲間に囲まれ、楽しそうに過ごしているというような描写は珍しいものではなかった様にコミュニケーションとは、個人の資質だけでなく、周囲との「相性」が重要なのではないか。学校というコミュニティ内での「スクールカースト」が煩わしいのならば、学校というコミュニティを捨て他の場所を探せばいい。わずか半世紀ほど前の我々は血縁・地縁の閉鎖的なコミュニティの中で生涯を終える者が殆どだった。そこでは「違うコミュニティを探す」などと言う余地すら生まれなかっただろう。

 まして、現在では携帯電話やインターネットなどの情報技術が発達しコミュニケーションが自由化されている。戦前の山村のような閉鎖された社会の様に、与えられたコミュニティに適応できなかった場合「村八分」にされるより遥かにマシと言えるのではないか。確かにFacebookやTwitterをはじめとしたSNSには不愉快にさせられる事も多々あるのも事実だが、結局は使い方ひとつではないか。しかし、こうした流動性の高いコミュニケーション環境を無くす事は、非モテの人にとって現在以上により厳しい未来が訪れてしまうのではないかと思えてならない。 これは否定するよりも、利用した方が得策だと考えるべきだろう。

→ 次ページ「私は「萌え」よりも「燃え」だから悩まなかった!」を読む

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西部邁

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コメント

    • A. HITOMI
    • 2014年 11月 29日

    オタクではないただの女であるが、寺崎氏の論考は大変興味深い。
    負の要素しか感じえない、絶望や孤独というもの、それが情熱と紙一重の関係にあり、燃える事、生きる事へのエネルギー源となる。
    であるならば、今の私は完全にエネルギー不足状態に陥っているといえよう。
    これは嘆かわしい事実ではないのか。
    そんな現代を生き抜く為の、若者向け新・絶望論、寺崎氏に(勝手に)期待している。
    最後に一つ反論を加えておこう。
    寺崎氏はオタクではあるが、非モテではないのでは・・・。

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  1. 2014-8-6

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