消費税増税の言い訳、実はコロコロ変わっている
- 2014/12/15
- 経済
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「国の収支を黒字化する」という大義名分さえ、まともにやる気はないのではないか?
基礎的財政収支の黒字化(財政健全化)と消費税の増税について述べようと思う。
増税論者たちは、消費税増税によって「基礎的財政収支を均衡(黒字化)させる」ことを目標に置いているらしい。結論から先に言うと、そのためには消費税率を最低でも25%程度まで上げることが必要とされる。
25%の根拠は、例えばここ5年間(H22~H26)の予算規模は平均で約93兆円、税収は約50兆円、不足分平均43.4兆円を公債金(国債の発行)で賄っています。
不足分43.4兆円を国の借金(国債の発行)で賄うのではなく、消費税20%超(43.4兆円)で賄うというのです。43.4兆円は 5%の消費税の下での20%分の不足ですから均衡財政のためには、合計25%超の消費税が必要だということになります。
問題は、前述したように国民の収入がピークだった時に比べ消費税25%分に相当する分の収入が減少している上に、さらに25%分と合わせると50%にも相当する支出増に、耐えられるかどうかということです。
常識的にはそのような高額の消費税に耐えられるわけがない。
厚労省の調査によれば、世帯当たり年収が300万円未満の世帯が全体の3割以上もあり、国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、平成25年の年間を通じて勤務した4645万人の給与階級分布によれば、年間給与が300万円(月額25万円)以下の人が全体の41%(約1900万人)もいる。ぎりぎり生活をしている人たちが、25%の消費税増税に耐えられるわけがない。
その前に、日本経済がもたないだろう。消費税収は、景気の動向に左右されずに安定した税収を確保できるという側面があるとは言え、前述の総務省の調査資料で示したように、今年8%導入後の4月~9月の消費支出は過去2回の消費税増税の時と異なり、消費支出が激減したまま回復の兆しを示していない。
「国の収支の黒字化」を目的に掲げれば、多くの人々の生活を犠牲にする
消費税は消費支出に依存する税である故に、消費支出が低下すれば、必然的に税収は低下する、景気悪化が予想されるので、全体の税収が低下する。そうだとすれば合計25%の消費税でさえ、均衡財政達成はむつかしい。
現実問題として富裕層は別にして収入の低い若者や高齢者が10%以上の消費税増税にさえ耐えられるだろうか。
現在進行中の円安は不気味である、不況下の物価高(スタグフレーション)を引き起こして庶民生活を直撃している・・・円高で国民の収入を減らし、その収入のリカバリーなしに、今度は円安の物価高が襲っているからである。
まともな思考ができる人なら、消費税増税で財政均衡なんて達成できるわけがないことがおわかりいただけるだろう。
蛇足:
平成27年度の予算は消費税8%導入後の最初の予算編成だが、史上最高の大型予算額101兆6800億円になっている。
昨年の予算総額95兆8800億円よりも5.8兆円多くなっている。なんのことはない、消費税を増やした分だけ予算額も増えている、これでは公債金(国債の発行額)は減らない。均衡予算をめざすとは、嘘っぱちだったということになる。
何故か、国債費(借金の返済と金利分)25兆8238億円は明記しているが、予算上不足分に当たる公債金の総額(国債の発行総額)は示していない・・・いずれはバレることだが予算編成期でもあり、当面不都合な真実は隠したい(笑)のだろうか。
ひょっとしたら、財務省も消費税率をアップしたことにより景気が最悪化することを恐れて大型予算にしたのかもしれない。極めて汚いやりかたである。
次回もこの続きを予定している。
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コメント
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私は20代前半の男です.せっかくの景気回復の兆しが増税によって潰され,むしろ景気悪化さえしているとのこと同意します.
ただこの話は直近の経済状況とともに将来の社会保障も考えなければならないのではないのではないでしょうか.
傘寿であらせられるなら,9人で1人の高齢者を支える形から,現在の3人で1人を支える形への社会保障の変遷をご存知だと思います.こうなれば労働者からの直接税でなく間接税の比率を増やさなければというのは一つの解のように思えます.
景気が底上げしきる前の増税でタイミングを間違えたのは事実だと思いますが,今後20年,30年を見通すと消費税増税は必要な項目なのではないでしょうか.
日本のGDPが500兆円。そのうち資本財の維持更新にあてられる分が120兆円だそうだから、国民が消費できるのは380兆円。1億2000万人で割るとひとり316万6666円。
今日から日本は共産主義、と宣言して国民に平等に配ると、夫婦と子供一人の三人家族は年収950万円の生活が出来る。じいちゃん一人、若夫婦二人、その子供二人、の五人家族だと1583万円。これなら二人の現役世代が一人の年金受給者を支えるのは簡単なのではないか。
この計算、まちがってます?
Takさんコメントありがとう。
>社会保障費も考えなければ・・・
社会保障についてひとくちで述べることはできませんが、
年金は少しずつ減額されています。
増大し続ける医療費、
毎年1兆円近く増加している、特に高齢者医療費が凄いという。
現代の医療は医者と医療機関を儲けさせるシステムになっている。
私は、自慢じゃないけれど、現役時代、一度も病院通いしたことがない、健康保険料は納めっぱなしです(笑)。現役引退して18年近くになりますが、町の無料の健康診断は一度だけ受けたことがあるだけです。
早期発見早期治療と言われますが、70歳以上にもなれば、精密な健康診断を受診すれば、どこか問題点がみつかる・・・これについては苦い経験があります。敢えて病気をみつけることもないというのが私の結論です。
無論、私なりの健康法をやっております。
人それぞれの生き方があるけれど、若い人たちに負担増にならないよう心がけたい。
老人たちもあまえたらあかんと思う。
>今後20年,30年を見通すと消費税増税は必要な項目なのではないでしょうか.
本件については、今後書く内容で皆さんと解決法を探りたいと思う。
画家の矢島俊一さんでしょうか。
計算そのものは間違っていませんが、いくら共産主義の世界でも、そのようなことが可能とは思えません。