米国大統領選は本当に公正に行われたか、トランプの積極財政には期待

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米国大統領選挙はトランプの勝利で終わった。元々クリントン優勢と伝えられていただけになぜそうなったのか驚く。選挙直前、トランプ氏はもし自分が負けたら、選挙で不正が行われたのではないかとして訴訟を起こす可能性をほのめかした。ただし自分が勝ったら結果を受け入れると、なんともご都合主義の男だ。

こんなデタラメな男であれば、陰で何か不正をやったのではないかと疑いたくなる。例えば接戦州でカネをばらまいて票を買収するとか、公共工事で儲けさせてやるから票を取りまとめてくれとか、方法はいくらでもあるのではないか。彼は高速道路、橋、トンネル、空港、学校、病院などインフレを整備することは最重要課題だと言った。
トランプが大統領になったら、あなたの町に***が建設されますと運動員が戸別訪問で言って回ったりツイートで広めたりしたら、それなら投票してもいいと思った人がいるのではないか。

得票数ではクリントン氏がトランプ氏を上回っているのに、獲得選挙人ではトランプ氏が上回ったことを考えてもなんだか怪しい。もともとクリントン氏はカリフォルニア等の大票田では確実に取れるので、票割りではむしろ有利だと言われていて、事前調査では獲得予想の選挙人数では大差でクリントンリードだった。

トランプ氏は自らが設立したトランプ大学の学生から詐欺罪で集団訴訟を受けている。選挙での発言の多くは田舎芝居であって国民を騙しただけではないか。
(1)「メキシコとの国境に壁を造る」「費用はメキシコに支払わせる」という公約だが、8月にメキシコのペニャニエト大統領と会談した際はこの話は持ち出さなかった。つまりやる気が無い。
(2)日本が攻撃を受けたら我々は即座に助けに行かなければなら ないが、米国が攻撃されても日本は我々を助ける必要はないというのは不平等だと主張。守ってもらいたければカネを払えという。選挙後に安倍総理と話した様子では、そのような激しい要求をしていたようには見えない。

これは筆者の推測だが、選挙前の様々な発言は単なる選挙対策であり、本気ではないだろう。自由貿易を否定し、関税を上げて国内産業を保護しようと主張する。しかしそれをやれば、貿易相手国も米国に対し関税を上げるから、国全体を衰退させてしまう。
これは1930年頃から始まった保護貿易の結末であり、トランプ氏も理解するだろう。TPPも米国が参加しないなら米国抜きで発行できるよう条項を見直す提案がメキシコのゲハルド経済相が提案しており、そうなれば米国経済には大打撃となる。

暗い話ばかりになってしまったが、一つ明るい話題がある。保護貿易を唱えるトランプ氏が大統領になったら株が大暴落するかと思いきや、ダウ平均は逆に上昇した。
それはトランプ氏が当選が確実となった後の演説で大規模な減税や高速道路、橋、トンネル、空港、学校、病院などインフレを整備するなどと具体的な積極財政政策を打ち出したのが、景気浮揚効果ありと受け止められたからだ。もともと共和党は小さな政府を目指していて、トランプ氏の政策は共和党の従来の政策とは正反対のものである。

以前、筆者は米国経済をシミュレーションを使って研究している経済学者の試算を見て、もっと財政を拡大すればもっと成長できるのではないかと聞いたことがある。彼は、これ以上財政を拡大したら共和党が反対すると言っていた。
「緊縮」「健全財政」という途方もない厚い馬鹿の壁をトランプは破ったのかもしれない。この点だけは日本政府もしっかり注視して欲しい。

小野盛司

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