赤外線でがん細胞だけをやっつける画期的治療法を日本人が開発

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人体に無害な光でがん細胞を壊すという、新しい治療法が米研究所の日本人によって開発され話題を呼んでいます。なんでもマウス実験では8割のがんが完治したうえ、副作用が少ない新治療法としてオバマ大統領も注目しているのだとか。3〜4年後にはがん治療薬として米国での承認を目指すというこの夢のプロジェクトに関して、メルマガ『週刊 サイエンスジャーナル』が現在のがん治療状況を交えながら詳しく解説しています。

人体に優しいがん治療法! 近赤外線と抗体でがん狙い撃ち!臨床実験へ

がんの治療というと第1に挙げられるのは外科的な手術。第2の方法が化学療法で、いわゆる抗がん剤による治療法。第3の方法が放射線治療ということになる。 日本の現状は7から8割が外科的な治療であり、放射線治療は2から3割であるが、アメリカやヨーロッパで多いのは放射線治療で、がん治療の7から8割を占めている。

最近では重粒子線や陽子線などで、ガンは治る時代になった。しかし、すべての人がこの先進医療が受けられるわけではない。設備が十分ではないからだ。治療には、加速施設が必要で、重粒子線は、千葉県の放射線医学総合研究所、兵庫県粒子線医療センター、群馬大学の3か所、陽子線は、福島県、つくば市など5か所に限られている。

また、ガンの中にも向き不向きがある。ピンポイントのガンに放射線を照射する治療法なので、転移性のがんや白血病などの全身に広がるがんには効かない。また胃ガンや大腸がんなどよく動く消化器官のがんには向いていないなどの問題もあった。

そして、通常の保険診療と費用の扱いが異なる。先進医療は保険対象外のため、患者が全額を支払わなければならないという点も問題だ。通常医療費は全て保険の対象となり、患者は一部負担金(3割分)を支払えばよい。先進医療の費用負担額は全額約250万円以上にもなる。

今回、人体に無害な光(近赤外線)を当ててがん細胞を壊す新しい治療法を米国立保健研究所(NIH)の小林久隆・主任研究員らが開発し、患者で効き目を調べる治験(臨床試験)を近く始める。光を受けると熱を出す特殊な化学物質をがん細胞の表面に結びつけ、がんだけを熱で狙い撃ちする。

近赤外線は放射線や陽子線と違い正常細胞には無害であるし、取り扱いが容易である。標的となるがん細胞に対しては抗体を使い、がん細胞に結びついた抗体は近赤外線に反応してがん細胞を効率的に攻撃するなどの工夫を取り入れた。

『週刊 サイエンスジャーナル』

著者/なみ たかし
大学でライフサイエンスを学ぶ。現在/理科教員/サイエンスコミュニケーター/サイエンスライター。メルマガでは毎日の科学ニュースをもとに、最新科学やテクノロジー、環境問題や健康情報など、役に立つ科学情報をわかりやすく解説。

source: 朝日新聞デジタル

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