国土強靭化を進めよう!
- 2013/10/22
- 経済
- 国土強靭化, 財政破綻
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はじめに
東日本大震災による巨大地震と津波が生み出した悲劇は日本国民の心に大きく刻まれています。黒い津波が町や田畑を飲み込む様子は被災地だけでなく、日本全体に大きな衝撃を与えました。
京都大学院工学研究科教授の藤井聡氏は著書「救国のレジリエンス」において「数年~数十年内に巨大地震が日本を襲う可能性がある」と指摘し、さらに「西日本を巨大地震が襲った場合の大阪や名古屋の津波被害は200兆円や300兆円程度の規模に達することも想定内になる」と紹介しています。
日本は地震大国であり、巨大地震がいつどこで起きるか分かりません。日本国民は巨大地震と共に生きる宿命にあります。
その宿命に立ち向かうため一つの政策が提唱されました。
「国土強靭化」です。
国土強靭化は「大規模災害の事前防災」と思われがちですが、それだけではありません。自民党の政権公約を確認すると「首都機能の確保・強靭化、バックアップと行政機能等の分散化対策」「多極分散の考え方のもと、人口・経済産業、政府機能の最大限国土全体に分散」「道路・鉄道のミッシリング(=未開通部分)解消や港湾など交通網整備の推進」など国家全体を文字通り「強靭化」していく政策です。
巨大地震と津波から「日本国民の生命と財産」「地域や日常」を守るのは国家の使命であり、国土強靭化に対して「デフレ脱却の起爆剤である」とか「ただのバラマキだ」といった議論を耳にしますが「国土強靭化を景気対策として議論を先鋭化する必要はない」と、筆者は考えます。
国土強靭化が日本国民の生命や財産を守り、国家存続のために必要不可欠な公共事業であるならば、経済状態が好景気やインフレであっても実施すべきでしょう。
政治家は国土強靭化を景気対策として俎上に載せるのではなく、「国土強靭化は国家のために必要な公共事業である」と、正々堂々と主張すべきです。
しかし、「国土強靭化が景気対策になるのか?」と質問を受ければ筆者は「はい」と答えています。理由は公共事業を行えば必ず雇用や所得が生まれるからです。
公共事業は建設会社だけでなく、建設機材メーカー、警備会社、運輸会社、セメント会社などにも経済効果が波及します。さらに公共事業の拡大によって、企業が雇用を増やす場合は求人サービス会社などにも経済効果は波及していくでしょう。
たしかに好景気で国内の資金需要が旺盛な時に建設国債を発行し、公共事業を拡大すれば、金利と物価の上昇などで民業の圧迫を招き、経済成長を阻害する可能性があります(クラウンディングアウト)。
しかし、現在の日本経済は不況です。国内の資金需要は低迷し、日本国民の所得低下や雇用不安定化が進んでいます。その対策として不況時に公共事業を拡大するのは決して間違いではありません。
(ただし、筆者は「財政出動は実施すべき当然の不況対策」と認識しています。筆者は「財政出動」や「金融政策」だけでなく「保護政策」「需給調整規制の再規制」「独占禁止法緩和」「自己資本比率規制や会計制度の見直し」など「日本経済の構造是正」こそ、最も取り組むべき経済政策であると考えています。)
「不況対策として公共事業を拡大すべきである」との主張をしていますと、必ず「日本は世界最大の借金大国だ!財源はどこにあるのだ?」という反論を受けます。
ニュースや政治番組に出演するコメンテーターも決まって同様の主張をしています。彼らは「バラマキを続ければ日本が財政破綻する」との「常識」を持っているのですが、はたして本当に「日本は借金大国で、財政破綻するほど危険な状態」なのでしょうか?
コメント
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活かした金のためにもしっかりやってください
マスコミやそれに扇動された”庶民派”を気取る人々は、政府による財政支出や公共事業に歪んだ感情を抱き続け、それらを攻撃する機会を常に窺ってきたように思えます。
口では理想論(実は暴論だったわけですが…)を唱えつつも、公共事業を通じて実生活で果実を得るために、そういった感情を押し殺していたのですが、(なぜか)国民の高い支持を得た小泉政権の誕生を契機に、そのタガが外れ、「自由貿易」「規制緩和」「財政再建(緊縮財政)」といったパンドラの箱を開けてしまったのです。
愚かな国民は、高い代償と授業料を払い、くだらぬ社会実験を10年以上も続けてきたのですが、未だにその失敗を認めたくはないようです。