日本愛国ポルノと日本自虐本、どちらに理がある?

それで、実は、今回特に取り上げたいのは次の記事です。

日本の書店には愛国ポルノが並ぶがイギリスでは「全然愛されてない場所を巡るイギリスの旅」という本が並ぶ

最近日本では韓国や中国を揶揄する書籍の出版が目立っており、雑誌には韓国や中国をたたき、愛国心を煽る様な記事が目立つ様になりました。リベラル本はなかなか売れず、ただでさえ経営が苦しい書店は「愛国ポルノ」を売らざる得ないのでしょう。

ワタクシこの記事やTwitterのまとめ、日本の大手書店の店頭の写真をイギリス人やカナダ人、ドイツ人、フランス人に見せたんですけど、「はああ??」とびっくりしておりました。

そして、下の様なコメントをくれました。

「あの、大手の出版社がこういう本を出してしまって、大手のブックチェーンが店頭でこういうフェアやっちゃうの??日本のエスニックマイノリティーって確かコリアンジャパニーズやチャイニーズジャパニーズだよね。日本の大手企業の社長やエンターテイナーにも彼らは多いけど、色々困らないのかね」

「こういう企業はエスニックマイノリティの顧客を失うことや、裕福なリベラル派のお客さんを失うことが怖くないのかなあ?自社になんとなく特別なイメージがついてしまうでしょ。チャリティやる場合のスポンサー探すのも大変になりそうね。リチャード・ブランソンみたいな篤志家から協力は得られないだろうなあ。貴族も嫌がるだろうね。あ、日本には貴族はいない?でもCSRのKPIが下がっちゃって、担当者が叩かれそうだよねえ。」

「内容によっては、著者や出版社が訴えられちゃうかもね。だって特定の人種や特定の国の人を攻撃しているからね。本を書く前に全責任は著者が被るって契約書結ばないのかな、出版社と。訴訟起こされたら嫌だからこっちなら攻撃されそうな本は書かないかも」

「自分の会社にそのエスニックマイノリティの人がいたら、『こんなものを私に売らせて嫌がらせをしている!差別だ!!』と職場を訴えるかもしれないから、怖くてこういう本は出せないよね。。。人種差別訴訟は証拠があったら一発だからなあ。最近仕事が欲しくてしょうがない弁護士事務所がおおいだろう。会社が倒産しちゃうよ。損害賠償額がでかいからなあ。こういう出版社や書店には法務とかリスク管理部はないのかね?まあ日本はEUに加盟してないからいいけど、こっちはEUがあるからね。EUまで訴えられちゃうとねえ。大変だよ。ははは」

「トーキョーはロンドンよりはるかに大きな首都だけど、出版社や書店にエスニックマイノリティーや外国人はいないのかな。。。」

こういう「愛国ポルノ本」がイギリスで売られていたらと仮定すると、こんな題名の本が並ぶことになるでしょう

・呆アイルランド論
・ウソだらけの近代イギリスーバングラデシュ史
・なぜ反英フランスには未来はないのか
・どうしょもないインド
・そして生き残るのはイギリスだけ
・イギリス人はいつからイギリスが好きになったのか
・南アフリカの人はなぜイギリスを尊敬するのか
・英米再逆転
・イギリス女子と愛国
・反英メディアの正体
・ドイツに舐められないために

(中略)ちなみに、イギリスではこういう本のかわりに、大手書店の店頭には以下の様な本が並んでいます。店頭にバンバンならんでたので思わず買ってしまいましたが。仕事が嫌いな人が多いので、キャリアポルノとか政治経済本は店頭に並ばないんですよね。こういう本ばっかりで。

『イギリスのクソゴミな町』

『あんたって最低 でもあんたが好きよ:全然愛されてない場所を巡るイギリスの旅』

『イギリスのクソ村』

『ギャングスターラッパー塗り絵』
http://wirelesswire.jp/london_wave/201402271812.html

愛国ポルノというのは、おそらくこの記事の執筆者である谷本真由美氏の造語でしょう。おそらくは、自己愛的、自己満足的な自国礼賛、過剰な自国の優越性の誇示のことを指していると思われます。

→ 次ページ:「未だにいる幼稚な「外国かぶれ」」を読む

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西部邁

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コメント

    • 一間爛れ
    • 2014年 4月 16日

    高木さんの記事はアスリードの中でも一番楽しみに見させてもらってます。
    今回の記事はいつもとやや毛色が違うようには感じながらも、
    「いるよねこういう人」というような頷ける言葉が多く、笑いながら読ませていただきました。
    これからも記事を楽しみにしています。

    長々と失礼しました。

      • 道明寺 司
      • 2015年 6月 08日

      僕個人の主観ですが、日本と言う国全体が自己愛性パーソナリティ障害に陥ってる気がします。
      「ここは日本だぞ、外国とは違うんだ」と言う価値判断が余計に病状を悪化させているように僕は思えます。

      国民全体の雰囲気や、精神や、認識等が乱高下していく全体主義的傾向の方がよほど危険かつ、深刻な問題を孕んでいる

      と言う高木さんの結論には同意します。
      正しいか間違っているかと言う判断より、自分が気持ち良いか気持ち悪いかと言う判断で「正しさ」を認識する人が増えたのだと思います。
      宮台真司氏の言葉を借りれば、「感情の劣化」が起きているのだと思います。

      しかし、ドイツは日本が言ってる「自虐史観」をひきうけて今のEUの地位を手に入れたのですから、
      自己愛的に「自虐史観ガー」と日本は国際社会に意見を言うより、戦争責任を引き受け、それから日本が国際社会へどういう役割を果たしていくかと言う国民的な議論が必要なのではないのでしょうか。
      「自虐史観」とか被害者ヅラして主張する癖に、一方で一人前の国に扱ってくれみたいな事を言ってたら、それこそ幼児の論理しかない国だと思われる証左ではないでしょうか。

      これを言った瞬間に「韓国ガー」「中国ガー」の人が沸いてくると思いますが、まずは自分の襟元を正したらどうなんでしょうか。

      とりあえず、自称愛国者の人たちはもう一度義務教育を受けなおした方がいいと思いますよ。つーか、お前らみたいな奴らが居てるおかげでな、日本の国益はどんどん損なわれてるんだよ。お前らバカには見えない国益がな。
      戦後日本教育を批判するとしたら、まず俺はお前らみたいなイカレポンチを生み出してしまった事を全力で批判するし、日本国民の一人として猛省するわ。

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