日本マクドナルド、「史上最大の赤字」を分析して発覚した異常事態

マクドナルドの最新の損益計算書を分析してみよう!

続いて、マクドナルドの最新の損益計算書はどうなっているでしょうか?

最終損失が292億円の赤字といえども、事業の構造改革を行う際には赤字店舗の撤退などで特別損失を計上するなど、将来の黒字化へ向けた「前向きの赤字」になる場合もあります。実際のところはどうなのでしょうか?

まずは、本業の儲けに金融収支を加味した経常利益をチェックしてみましょう。最新の損益計算書を見れば、マクドナルドのこの9か月間の経常赤字は、223億円にも上っていることがわかります。前年同月実績も6億円の赤字ですが、これとは比較にならないくらい赤字幅が拡大しているということなのです。

次に本業の儲けを示す営業利益はどうでしょうか?

2015年9月末段階のマクドナルドの営業赤字は208億円になっています。つまり、現状マクドナルドは事業を行えば行うほど赤字が増えていく体質になっているのです。前年はこの営業利益は2億円ですが、黒字となっており、マクドナルドはこの1年で深刻な事態に陥ったことが浮き彫りとなります。

さらに憂慮すべきことは、マクドナルドの場合、2015年9月末時点で売上総利益が27億円の赤字に陥ったことです。売上総利益とは、売上から売上に必要な原価を差し引いて求められる利益なので、通常は赤字など考えられません。現状のマクドナルドは、簡単にいえば、102円の原価をかけて、100円のハンバーガーを売っているようなものなのです。

この売上総利益自体は前年同期の決算では194億円の黒字だったことを考えると、この1年間で想定以上の顧客流出が加速して売上が急減し、損益分岐点を遙かに下回る売上にまで落ち込んでしまったことが伺えます。

今回、マクドナルドの最新の決算書を分析してきましたが、深掘りすればするほどマクドナルドの今後の行方に暗雲が立ち込めていることが如実になります。一刻も早く顧客の流出を食い止め、キャッシュを生み出す体制作りを固めない限りはいくらマクドナルドといえども安穏としていられないといっても過言ではないといえるのではないでしょうか。

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西部邁

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