アメリカが「中国打倒」を決意。南シナ海の自由航海で見えたもの

中国との対決に集中

・ロシアと和解する

最後に、米国が中国に勝つために「ロシアと和解する可能性」について触れておこう。

「そんなバカな!」「モスクワ在住筆者の妄想だ!」──。

恐らくそんな反応が返ってくるだろう。

しかし、歴史は「米国は勝利するためなら敵とも組む」ことを教えている。

これも、実はもう起こっています。

まず、米ロ最大の問題だった「ウクライナ問題」がほぼ消滅した。ウクライナは、アメリカに「ハシゴを外された」のです。そして、「シリア」が米ロの最重要課題になった。

とはいえ、実をいうとアメリカの本音は、

「ロシアとイスラム国を戦わせ、わが国は中国との戦いに集中しよう」

というもの。証拠は、こちら。

アメリカの空母がペルシャ湾から撤退 2015/10/09(金曜) 22:04

アメリカ軍が、航空母艦セオドア・ルーズベルトをペルシャ湾から撤退させました。

イルナー通信がNBCニュースの報道として、9日金曜、伝えたところによりますと、アメリカ軍は、財政赤字により、8日木曜夜、乗組員およそ5,000人、戦闘機65機と共に、セオドア・ルーズベルトをペルシャ湾から撤退させました。

この報告によりますと、ロシアによるシリアへの軍事介入が拡大したことで、アメリカのペルシャ湾駐留の役割が縮小したということです。

セオドア・ルーズベルトのペルシャ湾からの撤退により、アメリカの航空母艦がペルシャ湾に不在となるのは、2007年以来のことになります。

これは、「イラン・ジャパニーズ・ラジオ」の記事。元記事アドレスはこちら

ロシアがシリア空爆をはじめた時、「プーチンはイスラム国ではなく、シリアの反体制派を攻撃している!」と大騒ぎしていたアメリカ。しかし、その声は(予定どおり)徐々に小さくなっています。

というわけで、すべて半年前に予想したとおりに動いています。

今回の「イージス艦派遣」ですが、もちろん「軍事力で決着をつけよう」という話ではありません。これも「大きな戦略」の一環なのです。

現在起こっていることのすべては、「中国を孤立させるため」。

今年3月の時点で優勢に見えた中国。しかし、アメリカが「中国打倒」を決意した今、状況は変わっていくことでしょう。 

→ 次ページ「日本が取るべき行動とは?」を読む

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西部邁

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