黒田日銀総裁の発言は嘘ばかりで、支離滅裂

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10月30日の金融政策決定会合で日銀の追加金融緩和が発表されるのか注目されたが、そのような発表はなかった。それでは、今の景気は満足できるものかと言えば、決してそうではない。2013年3月に黒田総裁が就任し、2年以内に2%のインフレ目標を達成すると宣言したのだが、今回の発表では2016年度後半まで達成時期を延期するのだそうだ。

これは達成までの期間を2倍にするということだ。原油価格の下落のせいにしたいようだが、それはおかしい。原油価格が下がれば、国民にとってはそれ以外の商品に対する購買力が上がり、消費が刺激され景気がよくなるはずだ。

かつて、日本のデフレが中国から安い製品が入ってきたのが原因だと言う人がいた。それなら、中国から輸入している国は全部デフレにならなければならぬはずだが、デフレになっているのは日本だけだ。原油価格の下落で世界中がデフレになっているわけではなく、黒田氏は間違っている。

消費税率を5%から8%に引き上げるか否かを議論していた2013年8月5日、黒田総裁は
(1)消費増税の先送りで財政への信認が揺らぎ、国債価格が下落すれば財政政策でも金融政策でも対応は極めて困難になる。
(2)予定通りの消費増税に伴う景気の下振れリスクには財政政策で対応できる。
などと発言した。

結局消費増税は先送りされず、消費増税を行ったから不況に陥り、国の借金のGDP比が増え、財政への信認が揺らいだ。国債価格の下落はなかった。しかしアメリカの格付け会社S&Pは増税による景気悪化で日本の国債の格付けを下げた。消費増税に伴う景気の下振れは極めて深刻である。

2013年度には2.1%であった実質GDP成長率は消費増税のため2014年度には-0.9%にまで落ち込み、更に2015年4-6月期には、年率換算で-1.2%、7-9月期にもマイナス成長になると言われている。

消費増税でこれほど深刻な不況に陥ったのに、黒田総裁が言ったように財政政策で対応できていない。黒田総裁には財政政策を決定する権限はないのだから、上記のような発言は無責任極まりない。そもそも日銀の独立性とは、金融政策は誰からも影響を受けずに決定できるということだが、逆に、日銀総裁は政府の政策に圧力をかけてはいけないはずで、このような発言は許されるべきでない。

2015年10月30日の黒田総裁は、金融緩和に限界があるのではないかと聞かれ「今の時点で国債買い入れに限界がくることはない」「手段に限界あるとは全く思っていない」と発言した。だったら躊躇なく追加緩和をすべきで、言っていることと、やることが支離滅裂だ。黒田総裁は消費増税でこれだけの不況に陥ることも予測できていなかった。

そもそも国の借金が増えるのはデフレで税収が落ち込んだことが原因となっている。増税を始めとする緊縮策が原因となってデフレから脱却できない限り、財政健全化は不可能だということ理解していない。このままではインフレ目標の達成時期に関しても際限なく嘘を言い続けることになりそうだ。

小野盛司

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