アメリカが「中国打倒」を決意。南シナ海の自由航海で見えたもの

アメリカの「逆襲」プログラム

というわけで、05年1月発売の「ボロボロになった覇権国家」からずっと書いてきたことが、現実になってきました。発売当時は、誰も「アメリカ没落」が現実になるとは思っていなかった。

しかし、08年にアメリカ発「100年に1度の大不況」が起こると、「ええ!? 本当に起こりましたね」と言われた。以後、アメリカの衰退は、加速しつづけています。

とはいえ、アメリカも「黙って覇権を差し出すほど」には没落していない。

「必ず逆襲に動くであろう」

私はそう予測し、ダイヤモンド・オンラインに、「どうやってリベンジするか?」を予想する記事を書きました。4月末のことです。

リベンジ~AIIBで中国に追いつめられた米国の逆襲

予想したアメリカの逆襲方法は、

・情報戦

「情報戦」は、米国がもっとも得意とする分野である。

米国がその気になれば、安倍総理を「軍国主義者」にすることも、プーチンを「ヒトラーの再来」にすることもできる。

これについては、もうはじまっていますね。

中国は、「共産党の一党独裁国家」で、「人権」も「言論の自由」「結社の自由」「信教の自由」もありません。ですから、アメリカがその気になれば、「悪の帝国」にすることは、簡単です。

・情報―経済戦=中国経済崩壊論の拡散

「中国経済崩壊論」の拡散も、米国が今後、取るであろう戦略だ。

これは「経済戦」の一環である(情報戦でもある)。

これも、すでにはっきり起こっていますね。

「AIIB事件」が起こったとき、「中国経済は絶好調です!」という人はいませんでした。しかし、今のように、「中国経済崩壊論」はひろがっていなかった。

中国経済が突如悪くなった。

1つは、アメリカのメディアが、毎日毎日「中国経済は崩壊する」と報じていること。

もう1つは、実際に中国経済が悪いこと。

これ、どっちもありなんです。業績が悪いから、株価が下がることもある。

しかし、メディアが「A社のビジネスには、大きな問題がある!」と報じれば、必ず株価は下がるでしょう。

経済成長がストップすれば、中国共産党政権の正統性は消え、ソ連のように体制が崩壊する可能性が強まる。

そして、ソ連のようになった中国が米国の覇権に挑むのは、しばらく無理だろう。

もちろん、中国経済の破綻は、世界経済へのダメージが大きく、米国も無傷ではいられない。

しかし、「背に腹はかえられない」のだ。

→ 次ページ「すべては中国を「孤立」させるための作戦」を読む

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西部邁

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