【藤井聡】メディアへの「批判」と「弾圧」は似て非なるもの

●政治家発言1
「マスコミをこらしめるには広告料収入がなくなることが一番だ。われわれ政治家には言えない。ましてや安倍晋三首相は言えないが、文化人、民間人が経団連に働き掛けてほしい。」
⇒アウト(公権力者からの発言である点を鑑みれば、アウトとしか言いようがないと思います)
●政治家発言2
「経団連も商工会も「子どもたちに悪影響を与えている番組ワースト10」とかを発表して、それに(広告を)出している企業を列挙すればいい。」
⇒アウト(これも先と同様です)
●政治家発言3
「関連だが、沖縄の特殊なメディア構造をつくってしまったのは戦後保守の堕落だった。左翼勢力に完全に乗っ取られている。」
⇒セーフ(公権力者からの発言であったとしても、セーフの可能性がかなり高い。ただ、前後の発言に依存するので、これだけの情報では断定は難しい)

[政治家発言 参照] 百田尚樹氏ら自民若手勉強会での発言要旨

●民間人発言1
「沖縄の2つの新聞社は絶対つぶさなあかん」
⇒アウト(としか言いようがない。社会的影響力の強い私人の公党の勉強会での発言であり、かつ、壁耳は一般には知られていないが──かつ、当方もかつては知らなかったが──党内では常識だからです)

[参照] 沖縄の尊厳・報道の自由を威圧 放言飛んだ自民勉強会

●民間人発言2
沖縄の2つの新聞「本気でつぶれたらいいと思う」
⇒セーフ(「つぶさなあかん」と「つぶれたらいい」には雲泥の差があります。「つぶれたらいい」は、個人の希望の表明に過ぎないもので、批判の範囲内の言説だと考えます。これは、「悪い人」がいた時に「死刑になったらいいと思う」という発言は許されても「殺さなあかん」は公的には許されない、というのと同様です)

[参照] 沖縄の2つの新聞「本気でつぶれたらいいと思う」 百田氏が大阪で発言

●新聞社発言1
「百田尚樹氏の『沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない』という発言は、政権の意に沿わない報道は許さないという『言論弾圧』の発想そのものであり、民主主義の根幹である表現の自由、報道の自由を否定する暴論にほかならない。百田氏の発言は自由だが、政権与党である自民党の国会議員が党本部で開いた会合の席上であり…」
⇒セーフ(というか、『百田氏の発言は自由だが、政権与党である自民党の国会議員が党本部で開いた会合の席上であり』と丁寧に書かれていることから、この主張には、大いに同意します)
●新聞社発言2
「政府に批判的な報道は、権力監視の役割を担うメディアにとって当然であり、批判的な報道ができる社会こそが健全だと考える。」
⇒もちろんセーフだが……(新聞社それ自身が、『強大な政治権力』を有しているという自覚が乏しいところに疑問を感ずる。「新聞社なら何をしても許されるのか?」といえば断じてそうではない。この社説の中には本来、そういう自覚も記載されるべき。それがあれば、この抗議社説はより説得力あるものとなったものと思います)

[新聞社発言 参照] 百田氏発言をめぐる琉球新報・沖縄タイムス共同抗議声明

……以上、いかがでしょうか?

以上についてのご判断は全て読者各位にお任せいたしますが、いずれにしても、サヨクやホシュの別や、自らの「立ち位置」などは度外視しつつ、こういう

「是々非々」

の判断を、常に持ち続けることが必要であると、当方は考えます。

さもなければ、人々はすぐに安直な規範やイデオロギーで判断し、言説を吐き続けるようになり、早晩

「思考停止」と「全体主義」

に社会全体が覆われてしまうようになるでしょう。

以上、長文となりましたが、皆様の是々非々の判断の「考えるヒント」になりますことを祈念しつつ、お話を終えたいと思います。

では、また来週!

藤井聡@京都大学大学院教授

『三橋貴明の「新」日本経済新聞』より
経済評論家・三橋貴明が責任編集長を務める日刊メルマガ。三橋貴明、藤井聡(京都大学大学院教授)、柴山桂太(滋賀大学准教授)、施光恒(九州大学准教授)、などの執筆陣たちが、日本経済、世界経済の真相をメッタ斬り!日本と世界の「今」と「裏」を知り、明日をつかむスーパー日刊経済新聞!

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