【藤井聡】メディアへの「批判」と「弾圧」は似て非なるもの

一方でレベル2の人々は、レベル3の人からは、自らが信じ込んでいるルール(例えばイデオロギー)を否定された格好になってしまいます。つまり、自らの存在を全否定されたように感ずるわけです。

そこで素直な方なら、あれこれ考えて、レベル3へとステップアップしていく契機を得ることができるのですが……多くの人は、そんな面倒な(茨の)道を歩もうとしません(だから、そういう人々はずっとレベル2にとどまっているわけですねw)。

だから、多くのレベル2の人は、レベル3の人からツッコまれると、レベル3の人を、

「こいつは、分かってない」

と、逆に「上から目線」でバカにしたりするわけです。

ただし、多くのレベル2も完全にバカではないですから、レベル3の言動の端々に、自分よりも正しい事を言っている臭いをかぎ取る程度のことはできる……ので、実際には多くの場合、過剰にいきり立り、いらだって、

「こいつは、何も分かってない単なるバカだ!!」

と叫び始めたり、「憎悪」したりするわけです(※こうやって、ソクラテスは殺されたわけです。つまりレベル3の人は、昔から弾圧され続けてるんですね)。

以上の話は、単なる一般論ですが、この話は、今回の自民党の勉強会での百田発言に端を発する「自民党若手議員勉強会のマスコミ言論封じ問題」を巡る、その後の世論の反応に如実に見て取ることができます。

そもそもこの問題は、

(A) 悪い奴らは、「公権力」を使ってでも潰したり弾圧するのが善だ

という意見(あるいはルール・規範)と

(B) マスメディアの報道の自由は必要だ

という意見(あるいはルール・規範)の対立構造になっています。

主として(A)はホシュ勢力が、(B)はサヨク勢力が主張しています。

通常は、これらの「ルール」は互いに抵触しあうことは無いのですが、今回は、

「マスメディアが望ましくない振る舞いをしている」

という状況だから、話がややこしくなっているのです。

だからこの問題は、「与えられたルールに従ってりゃそれでいい」と考えるレベル2の人々には、手におえないのです。

レベル2のホシュは、「メディアが悪いんだからつぶせばいい!」と叫びます。これが言論弾圧です。

一方でレベル2のサヨクは、「メディアの言論の自由は神聖不可侵なものなのだから、メディア批判は絶対許さない!」と叫びます。これがメディアの暴走を生みます。

だから、この問題(マスコミが望ましくない振る舞いをしている、という問題)をのり越えるには、レベル2の発想ではなく、

「いずれのルールを、それぞれの状況で適応すべきなのか?」

というレベル3の人々が持つ能力が求められているのです。

そうしたレベル3の視点で考えるなら、この問題は、次のように整理することができます。

「言論に基づくマスコミ批判」は、公権力者であろうがなかろうが、徹底的にやるべきである。

しかし、

「権力を使ったマスコミ弾圧」だけは、公権力者であろうがなかろうが絶対に避けねばならない。

(ただし、公権力者の場合は、弾圧となる危険性が高いため、特に慎重に対応すべきである)

ただし、この(条件分けを含んだ)「ハイパールール」を運用するためには、

「批判」と「弾圧」

の線引きを厳密につけなければなりません。

インターネットの言説を見る限り、この「批判」と「弾圧」の線引きがついていないものが大量に存在しています。

たとえば、

「政治家であろうと、特定のメディアの偏向を指弾する」

のは、弾圧ではなく「批判」であり、推奨されるべきものだと、当方は考えます(しかし、ネット界ではそれすらも叩く声がある)。

一方で、

「民間人・私人であろうと、自らの言説に影響力のある者が、特定メディアの弾圧を奨励する」

のは、批判ではなく「弾圧」となり、非難されて然るべきだと、当方は考えます(しかし、ネット界ではそれを称賛する声も大量に! ある)。

いずれにせよ、こうした「当方の考え方」に基づくと、今回の一連の発言についてのジャッジメントは、以下の様になります(つまり、以下は完全な当方の「私見」です)。

→ 次ページ「いよいよジャッジ、政治家、民間人、新聞の発言はアウトかセーフか」を読む

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西部邁

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