※この記事は「チャンネルAJER」様より記事を提供いただいています。
他の記事も読むにはコチラ
最近のマスコミの論調は全く馬鹿馬鹿しい。政府による骨太方針に関連して出てきた論調だ。そこには財政再建が最優先であることが見て取れる。マスコミは異口同音にこの骨太方針を批判する。政府見通しが甘すぎるという主張だ。
緊縮財政を強化すれば、デフレは悪化するだけ
甘い成長見通しで、甘い税収増の見通しを立てていることを批判、実際はそんなに成長するわけがないから、現実は税収はそんなに増えないだろう。本気で財政再建を考えているのであれば、もっと厳しい緊縮財政、つまり10%以上へ消費税率を上げ、歳出をもっと厳しく抑制せよと言う。
デフレから脱却せよとか、失われた20年を止めよとか、景気を回復させよとかという主張はどこにも見られない。緊縮財政を強化すれば、デフレは悪化し、景気が悪くなり、その結果税収は減り財政が悪化することが理解できないようだ。言うまでも無く政治は国民を豊かにするためにある。国民が豊かになり経済が活性化すれば、当然税収も増え財政も健全化する。
これは漁業資源の減少によって漁獲量が減ってきた状況に似ている。このとき、更に漁船を増やし大量に魚を捕ろうとしたらどうなるか。更に漁業資源が減って漁獲量は更に減ってしまう。このとき、やるべきは魚を捕るのを制限し、漁業資源を増やすことだ。漁業資源が増えれば自然に漁獲量は増えてくる。ということは、デフレで経済が縮小するときに行うべきは増税でなく、減税であり、国民を豊かにすることだ。では財源はどこになるのかと必ず聞かれる。通貨増発を財源にすべきだ。
日本の最古の貨幣は683年に発行された富本銭、もしくは708年に発行された和同開珎であると言われている。その後貨幣増発によって、国民に渡る貨幣の量を徐々に増加させていき、国民を豊かにすると供に経済を活性化させてきた。経済を成長させるための絶対条件は通貨(貨幣)の量を増やすことであり、増やすべき通貨を成長通貨という。
例えば江戸時代の1844年の歳入は257万両であり、通貨増発にあたる貨幣改鋳益金は85万両であった。この年は江戸城本丸の再建費用に83万両使っている。貨幣改鋳益金は歳入の33.3%にあたる。注意すべきは、歳入が足りないからといって、国民からカネを借りるなどという情けないことをやっていないことだ。つまり将来世代へのツケは残していない。
通貨増発による利益を歳入に組み込んでいるので、財政赤字ではない。また、通貨増発でハイパーインフレになったわけでもない。江戸幕府は完璧に健全財政を維持する方法を確立していたと言える。
「財政破綻」「国債暴落」「通貨の信認が失われる」「ハイパーインフレが来る」などと恐怖を煽り立てられ、不況から20年間も抜け出せない愚かな日本政府には、江戸時代に学べと言いたい。それでは現代でも同様な制度をつくるとしたらどうすればよいだろうか。つまり通貨を増発し、その利益を歳入に組み込む方法である。
何をもって通貨増発とするかであるが、例えば財政法を変えて、国債の日銀引受を可能にする。そして無利子無期限の国債を政府が発行し、日銀が引き受ける。引き受けた額が通貨発行額だ。どれだけ通貨発行するのが適切か、つまり成長通貨の量は、マクロ計量経済学の専門家が集まって決める。一方通常の国債の発行は極力抑える。通貨発行益は歳入に組み入れられるから一気に財政は健全化する。もし、景気が過熱し日銀の保有する無利子無期限国債を売らなければならなくなったら、それを政府に売ればよい。
大部分の国民が景気は回復していないと言っている現在、閉塞感を打ち破るために、江戸時代の人達の知恵を参考にしたらどうだろう。
小野盛司
コメント
-
2016年 7月 14日
この記事へのコメントはありません。