ホワイトハウス敷地(1月26日)と日本の首相官邸屋上(4月22日発見)への無人機落下事件が示しているように、無人機はいまのところ、メーカーがソフトウェアに設定した飛行禁止区域以外の地域には、どこでも飛行することが可能である。両事件で落下した無人機のメーカーである中国のDJI社は、米政府と日本政府の要請に従って、ホワイトハウスや首相官邸を飛行禁止区域に追加したが、NASAは特定区域への無人機の進入を、米政府がメーカーに頼らずに防止する技術の開発をめざしている。
飛行禁止区域を柔軟に設定するための技術は、悪天候時の飛行禁止、高層ビルとの衝突回避、混雑空域での衝突回避にも応用できる。
飛行制限を柔軟に実施するためには、無人機が飛行禁止区域、天候、他の航空機の位置などの情報を受信する必要がある。米国の航空交通管制は、すでに通信容量の限界に達しているので、低高度の無人機との通信は、セルラーネットワークを介したインターネット接続がもっとも適している。
FAAは米国の商業用小型無人機の数を、規則制定後1年目に3236機、5年目に7550機と予測しているが、NASAはそれに見合う予算を航空交通管制の研究開発に投入していない。それもあって、米国の無人機航空交通管制は、小型無人輸送機を開発中のアマゾンやグーグルを含め、NASAの共同研究の相手に有利なものとなる可能性がある。
静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之
著者/小川和久(軍事アナリスト)
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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