誰も語らない語れない不都合な真実、財政破綻

打開策について

終戦後のどさくさ状態の時のように、預金封鎖して金持ちたちから金融資産を奪い返すという手もあるが、平時のこの期に及んで預金封鎖という手荒な手段は難しい。又、特別会計の借金を含めるとそれでも足りないだろう。

前回、ロイターのコラム「ブラックホール化する日銀の国債購入」という記事を紹介したが、昨年9月末時点で日銀の国債保有額は約230兆円(2012年3月末は約87兆円だった)だが、本年3月末には250兆円を超えるものと思われる。誤解してはいけない、日銀は金融緩和が目的ではない、そんな格好いい話ではありません。国債を購入せざるを得ない状態に追い込まれているのである。

ロイターのコラムニストが指摘するように、日銀は国債を売却する必要に迫られることもなく、日銀の金庫は「ブラックホール」と化す。そこに飲み込まれた国債は2度と外には出て来ず、市場に残る国債は高価な軌道上にとどまることなる・・・市場に残る国債は高価な軌道上にとどまるとは、金利(率)が低いままに抑制されることを意味している。

今から数年前までは、エコノミストやジャーナリストたちは、「日銀の買いオペは禁じ手だ」などと騒いでいたが、今回の日銀の国債買いオペについては何も言わない。日本のエコノミストたちとは、その程度のレベルの愚者たちである。

ロイターのコラム記事の意味するところを理解した上で、次の記事を読んでみてください、5年前に筆者のブログで書いた記事を現在風にアレンジしてあります。

『国の借金をチャラにする方法』

例えば国の借金1030兆円を日銀がすべて肩代わりすればいいのです(一挙に買い取るかどうかはべつにしても)。政府は1030兆円の小切手を1枚刷って日銀に渡せば終わりです。借金はチャラ、帳消しになります。

現在は殆どすべて電子マネーの時代です。日銀が1030兆円の大量の一万円札を発行するなど、そんな大袈裟な作業は必要もありません。政府から日銀へ渡す金も、電子マネーつまり帳簿上のやりとりだけでも、充分です。

お金とは国家の信用力そのものである、信なくば、ただの紙切れになる。ここでも問題となるのは、闇に包まれた特別会計の膨大な借金です、本稿ではそこまでは踏み込めない。

そんなことができるの?

今のうちならできます。日本が対外的に負債大国ならば、ことは容易ではありません。幸いにして、日本は対外的には債権大国です。

できるかできないかは、『少しばかりの叡智』と『大いなる勇気』と『断固たる愛国心』があればできます。残念ながら、今のB層化した政権では不可能かもしれませんが・・・。

偏差値教育で育った今のひ弱でマニュアル思考しかできないエリート官僚たち、二世、三世の世襲政治家どもや自分たちの損得ばかり考える愚かな経済財政諮問会議メンバーたちでは無理かもしれない(竹中平蔵氏をみればわかるだろう)。

そして最大の障害はUSAだと思う。日本は戦後から続くアメリカ支配から未だに脱け出せないでいる。アメリカの言いなり国家ですから、アメリカの脅しやイチャモンをつけられれば、びびる政権では無理かもしれません。脱米が必要である。

日本国債の場合は、ギリシャが持つユーロ債と違い対外債務ではないので上述の手段は可能なはずです、預金封鎖などの強権的手段に比べれば、極めて穏やか(苦笑)で安全、しかもあっけないくらい簡単ですね。一挙に全額消却しなくても、段階的に消化する方法だって考えられます。

また、そんなことをやれば、「ハイパーインフレが起きる」と尤もらしく言う人が出るでしょう。私は南米の小国で、偶々合弁会社の役員の端くれをしているときにハイパーインフレを実体験しています。ハイパーインフレが起きる数年前から闇ドルが横行(前兆現象)していました。

日本の場合もいきなりハイパーインフレになることはありえない、まず円安が先行するはずです。今の円安の進行には注意深く見守って行く必要があります。この20年間に低所得化に追い込まれた若者や庶民には、円安による物価高は厳しい生活を強いられます。円安のメリットを生かす一方で、物価高を緩和する対策が必要です。

円安について

円安・円高は為替の問題です。国際金融が異常に投機化、モンスター化しています。BIS(国際決済銀行)が3年毎に行う世界規模の外国為替市場調査によれば、1日当たりの取引高は、5.3兆ドル(1us100円として530兆円)以上のマネーが世界中を飛び交っている、実需はほんの数パーセントにも満たない。

一国の為替市場介入くらいでは動かないことは円高時代の日銀・財務省の為替介入はほとんど効を奏さなかったことで明らかであり、2012年安倍政権成立後は全く為替介入はしていないにもかかわらず、1usドル80円台から今日の120円付近までの円安が続いている。

相場を支配しているのは通貨マフィヤとその手先(ヘッジファンド)だと思うが間違っているだろうか。そもそも彼らに活躍の場を与えた「為替のプラザ合意」そのものが胡散臭い。

為替について述べればきりがないのでこの辺で終わりにしますが、資本主義は物を作って、もしくはサービス(労働)を提供して、それにいくばくかの利益を乗せて売るのが本来の姿である。

金融資本主義とは、金で金を操るマネーゲームの世界である。何らの価値あるものも生み出していない。単なる「金のやりとりゲーム」が資本主義と言えるのだろうか。

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西部邁

いかりや爆

投稿者プロフィール

昭和10年生まれ、まもなく傘寿を迎える怒れる市井の老人です。現役時代は主として海外事業に携わり、経済の現場で為替に翻弄(固定相場の360円時代→プラザ合意→超円高)されたサラリーマン生活を送った。現在、ブログ「いかりや爆氏の毒独日記」を時折執筆中。

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