財務省の本音は景気回復ではなく、デフレ維持策
前回、最後のところで消費税増税について、財務省について ” 計算づくで消費税の増税を謀り、信じ難いことだが、デフレ維持政策をとったのだと思う”と、私は述べた。
消費税増税の震源地は財務省である。財務省は景気を良くしようなんて、最初から考えていない。財務省にとって景気がよくなって金利が上昇することを最も恐れているのである。
財務省は消費税をアップすれば景気が悪化することは百も承知していながら、消費増税をごり押ししたのである。否、それどころか消費税増税を不景気維持策として悪用している。「何故か」をよく考えてみて欲しい。
先ず金利について、わかりやすく具体例を上げておきます。
これも、財務省の資料(利払費と金利の推移)からです。例えば、平成元年度の利払費は公債残高164兆円に対して10.6兆円です、平成25年度は公債残高750兆円に対して利払費は9.9兆円です。
平成25年度の場合、平成元年度に比べて借金(公債残高)は約4.6倍であるにも拘らず、利払い費は平成25年度の方が低くなっている。この違いは言うまでもなく、利率の違いによるものです。
次の表をご覧いただきたい。 出所は、「日本経済の現状と課題」 財務省財務総合政策研究所 と、財務省 国債等関係諸資料:普通国債の利率加重平均の各年ごとの推移(昭和50年度末以降)からの抜粋です。
「成長率の長期的推移 & 国債の利率の推移」
平均成長率 普通国債の利率(加重平均)
1974-85年度: 3.9% (7.08~7.64)
1986-90年度: 5.0% (6.10~6.81)
1991-95年度: 1.4% (4.64~6.05)
96-2000年度: 0.8% (2.67~4.33)
2001-05年度: 1.3% (1.42~2.30)
2006-12年度: 0.2% (1.19~1.43)
景気がよくなれば、国債を買うよりも実体経済への投資に金が流れて行くので、国債は売り難くなる。結果的に経済成長率よりも国債の利率を大きく上げざるを得ないという実態を表しています。
財務省統計資料(国債及び借入金並びに政府保証債務現在高)によれば、本年9月末時点の債務残高の合計は1038.9兆円です。
一方、安倍内閣の成長戦略:平成25/6/14 「日本再興戦略」によれば、10年間の平均で名目GDP成長率3%程度、実質GDP成長率2%程度の実現を目指しますと記載されています。
仮に、安倍内閣の目指す成長戦略(現実味に乏しい空論)通り、名目GDP成長率が3%となった場合、上記の実績が示すように、国債の利率は3%以上にならざるをえない。
例えば、名目成長率3%で、国債の利率が3.5%となった場合、初年度GDPを480兆円、国の借金1038.9兆円とすれば、5年後
名目GDPは、
480兆円→556.4兆円となり、5年間で名目GDPは76.4兆円増加するが、
国の借金は、5年後
1038.9兆円→1233.9兆円となり金利だけで5年間で195兆円増加し、借金の方が倍以上の速度で増えて行きます。
経済成長すればするほど借金の方が、うなぎ上りに拡大して行く構図になっている。
国の借金は、景気がよくなればなるほど借金が借金を生むサラ金地獄状態に陥っているのである。そこのところを財務官僚はよく知っているので、経済成長だけは許さない。自公政権がどんなに立派な御託(経済成長)を並べようとも空の念仏に等しい。
以上で財務省が、経済成長を望まない事情がおわかりいただけかと思う。
次回もこの続きです。
2
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。