編集長牧之瀬取材記 ー「八重桜の会」主催シンポジウム「あなたの街は大丈夫? 多文化共生と地方自治体の真実」

パネルディスカッション後半

犬伏氏:地元の蒲田では、3.11以降ラーメン屋や中国系の店が閉まった。みんな帰ってしまったからである。やはり飲食店などには多くの外国人がいる。経済効率を考えれば、290円の牛丼を売るのに、時給1,000円の日本人を雇うのはきついと思う。負の、マイナスのディスカウントのスパイラルになっている。これは人件費カットや腐った食材を使うことに繋がっている。安ければよいという考えではなく、適正な価格で買わないといけない。

「あなたらしくていい」という戦後教育がいけない。辛いことはやらなくても良いというわがままと自由をはき違えている。自衛隊のパイロットは成り手がいない。厳しい訓練をテレビで見た若者が多いからだ。逆に、陸上自衛隊は倍率が10倍になっている。PKOや災害救助で人の役に立てると認識されているからだ。3Kの職業でもやりがいを持てる。賃金や、賃金以外のやりがいが持てるのであれば人は集まる。
牛丼が500円になったとしても、雇用や食の安全を重視する人が増えるとよい。

鈴木正氏:昔トラックのバイトをしていたが日当1.5万だった。雇っている人も日本語が話せる日本人の方が本当は良いはずだ。最近、デコトラを見ない。おそらく賃金が下がったからだ。辛いことはやらなくてもよいという教育がよくない。昔は、部活で先輩に殴られるのは日常茶飯事だった。厳しいのが当たり前。それに耐えることで忍耐力がつき、自信になる。あれに耐えたのだから今回も何とかなる、と思える。勤労の素晴らしさと耐える力を教育しないといけない。

金子氏:給料で仕事を選ぶ若い人は多いが、給料は社会への貢献に伴う対価で生活を成り立たせるものだ。これから、日本人はどのように生きていくべきなのか。日本人の障害者の雇用、医療、子育てに対する政策が何が必要なのか?

鈴木信氏:日本のセーフティネットはしっかりしている。大企業は障害を持っている方を雇用する義務がある。少子化への対応策は、早期結婚の奨励がある。全国平均の出生率は1.3程度だが、実は既婚者の出生率は2程度ある。安定した職につけ、早期結婚できる施策を進める必要がある。個人的には(特に経済的な理由による)中絶を禁止する法律が必要だと思う。毎年20万人の子供が堕胎されている。統計には出てこない数字もあるため、実際はもっと多いはず。戦後、堕胎した子供は1億人になるという説もある。これは戦後のGHQの優生保護法、現在の母体保護法からである。もちろん、やむを得ない場合も例外的にあると思う。だが、経済的な理由を重視して命を殺してしまうのは間違っている。これだけで20万人の子供が増え、出生率は上がる。

鈴木正氏:日本のセーフティネットはできている。ニートやフリーターを正社員化する政策に変えればよい。日本の政治家は日本のために働くのが普通だが、外国人のために働いている。人材不足は日本人を正社員化し、収入を上げることで解決する。結果、出生率も上がり人口は増える。地方行政ならではだが、出会いの場をどう増やすのかを考えるべき。結婚したいのにできない人がいるなら、行政が支援してもよいと思う。

犬伏氏:過ぎたる福祉は人の生きる炎に水をさすという言葉がある。福祉政策は楽である。シングルマザーで子供が2人いると月に23.5万円もらえる。乳幼児であれば60万円の税金となる、さらに保育園に入るともっと。60~65才の求職については、企業は90万円の助成金がもらえる。

企業に対するモチベーションが必要。外国人より高くても、質が高ければ日本人を雇う企業はある。帝京大学の志方教授に聞いたが、中国人と日本人の見分け方があるという。教授に対して正しい敬語を使うのが中国人、くだけた言い方をするのが日本人。これを是正して、企業が欲しがるような日本人になっていくことが大事なのである。

金子氏:日本人の生き方として、国とどのように関わり生きがいを感じるようにすべきか。
里見岸雄氏の著作「天皇とプロレタリア」を読んでみてほしい。

と、このような議論が交わされ、青木えみ同会共同代表の挨拶の後、会はお開きとなりました。

牧之瀬取材後記

鈴木信行氏と言えば、先の都知事選に「維新政党・新風代表」として立候補なさって、選挙ポスターが次々破られるという事件の当事者の方で、韓国入国禁止措置・指名手配を受けているネトウヨの権化(大変失礼ですが)のように一部ネット上では評されているように感じておりますが、この記事をご覧頂いた皆様はどのような印象を持たれましたでしょうか。

誤解を恐れずに言えば、私は人間が好きです。勿論「私の好きになり方」によって、具体的な場面において「好きだな」とか「嫌いだな」と感じ、付き合おうか、止そうか、考え、決めるわけですが。その基準が暫時流動的になる瞬間はあります。しかしながらその揺らぎの振幅の根本、これに目をやってみれば、自分の過去の体験があり、勿論自分が過去に他の誰かから得た体験、教えられたことなどを含んで、それらの膨大な情報の量から導きだされた「諸小基準の基準となる大基準」というようなものがかすかに見え隠れし、その大基準が、小基準の振幅、揺らぎの最中にあっても、どうやらあまり動いていない様子を捉えられると思います。これを如何程か同文化の中で時間を共有してきた人間は近似値として持っているということが出来ると思います。「自分が絶対的固有のものである」と声高に主張し、近似値を認めることをかたくなに拒む方も、世の中にはその程度の過多、主張の理由となる立脚点の深浅はさておき、なくはないのですが、それはそれとしてやはり同文化圏内に於ける価値基準の存在というものは「ある」と言えるでしょう。それ故別文化圏の価値基準を持ち、それを押し付けられるということは勘弁して欲しいし、そんな人と付き合いなさいなどと他人に強制される筋合いなどないと言う点に於いても、移民を推進する政策には反対し、呪詛のひとつでも投げかけてやりたくなります。私は性善説は採る気はありません。性悪説も採る気はありません。固定されている筈がないと考えるからです。

インターネット上に於いて、少なくとも私はさらさらと、またはカチカチ、ツルツルと、次から次へ情報を受け取っている「かのように」感じてしまいますが、やはり実際に人に会うことで得られる情報と比べれば、ほんのわずかなものでしかないと改めて感じました。友人とのメールのやり取りしかり、本来対面によって行われていれば生じずにすむ誤解が、メールのやり取り、つまりフォントなどの振幅はありながらも精製度合のかなり高い文字を遣ってなされるコミュニケーションにおいては、これが生じやすいとも言えるでしょう。特に感情表現等に於いて。また精製度合の高い記号としての文字によってしか表現出来ないものというものも確かに、あるにはあります。

ここに至って、今回の取材で私が得た最大のことは、あるレッテルを貼られた人物に会い、そのレッテルが、どこまでその人物全体をカバーし得ているものなのか。ということを確かめることの重要性を、より強く認識したことです。ただし私は性善説はとらないし、先入観が好転することだけでないこともしばしばです。しかしその時点の自分の人を見る眼力、自分の価値観、気分、そういったものが完全且つ安定しているとは言い切れない。

またレッテルを貼られて嘆く方がもしいらしたらば申し上げたいのは、貼られたレッテルが自分の全体(勿論自分の知覚出来る範囲内)をカバー出来ないものなのだとすれば、貼られたレッテルを剥がすことに執心するよりも、又別のレッテルが先に貼られたものと重なるか重ならないかはさておき、新たに貼られることを、期待せず収集していくぐらいの態度でご自分の役割をすすめ、思考を深めていかれては如何でしょうか。ということです。

何やら「抽象的」な取材後記となりましたが、これとて私の貼ったレッテル。皆さんは如何お考えですか?

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西部邁

牧之瀬 雄亮

牧之瀬 雄亮

投稿者プロフィール

聴衆が必ずしも積極的には聴かないことを前提とした音楽を探求する即興音楽家。東京を中心として関東圏や故郷鹿児島の山中で主に活動。まともな人間になろうと努力の日々。このサイトでは主に映画、文学、芸術等の記事を書いています。
宇都宮大学 国語教育科中退(8年在籍) Myspace
演奏依頼なさる奇特な方、あなためちゃくちゃセンスいいですよ!ツイッターまで。

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コメント

    • 777
    • 2014年 9月 02日

    鈴木正氏の「殴られること」と「厳しさ」を混同した意見には賛同しかねますね。
    それを言うのなら、
    「命の危険があるような厳しい環境下に置かれたことがないからお前は軟弱なのだ」
    とでもなんとでも言えるわけです。
    厳しければ厳しいほど「忍耐力」はつくでしょうね。

    「戦争体験のない者が忍耐を語るなどおこがましい。
    学校の部活ごときで身につく忍耐力など物の数に入らない。
    紛争地帯に行って後方支援でもやってこい!」
    と言われたらもう何も言えないでしょう。

    さらに以下のことをお聞きしたい。
    忍耐力は部活で殴られるような経験をしないと身につかないのか?
    殴られたことによって身につく忍耐力とはどのようなものか?
    その結果生じるデメリット、またはリスクなどについて一度でも考えたことがあるのか?

    おまけに金子氏も含め結局、
    賃金が下がったことではなく下がった賃金で「忍耐」できない者が悪い、
    という話になってしまっています。
    そのあとに人材不足解決のために収入を上げよと述べるなど支離滅裂です。

    おそらく賃金低下にかんしては「そんなもの我慢しろ!」という持論があり、
    人材不足にかんしては「賃金上昇で解決」という意見を聞きかじって述べたために
    矛盾したツギハギができあがったのでしょう。
    いずれかが大いに間違っているということに早く気づいて欲しいものです。

    どうもこの手の「体罰を受けた結果俺は立派になった」系の人間は、
    極めて自己中心的な物差ししか持たず、物事を安直に考えることが多いようですね。

    とでもレッテルを貼らせていただきましょうか。

      • ぽよぽよ
      • 2014年 9月 02日

      >777さん
      驚いたことに、これだけ長い文章を読まされて何も中身(問いに対する「自身の提案」)が無いとは・・・・。
      なるほど「レッテル」=「中身が無い」ということなんですね。
      教えてもらいました。

    • ちゃんとした評価を
    • 2014年 9月 03日

     とても勉強になりました。建設業、介護業界の人手不足というのに関して 給料が低いので
    離れてしまっているのでしょうね。私は障害者の施設の仕事をしています。若い女の子が
    下の世話を嫌がらずにやっているのを見て、本当にすごい。偉い。と思います。でも
    とても賃金が低いです。男性の職員もいるのですが、おそらく家庭を支えられていないと思います。
    老人介護などは、もっと大変だと思います。人のお世話というものは、知能がしっかりした人の
    お世話の方が大変なんです。手取りが20万以下というこの状況は、政治が動けばすぐに解消するはず
    なんです。

     人権や、男女共同参画などの予算を福祉へ回せばいいと思います。それこそ、人の人権を守ることになるでしょう。

    労働する人にはそれだけの賃金を払えば、それがお金が世に回る事にもなります。
    政府や大企業は、労働者に正当なお金を回すことが、経済成長になります。

    忍耐に関しては、日本人はこんな低賃金でとても忍耐強いですね。

    ですが、役所は外国人の圧力にとても弱く、忍耐が発揮できておりませんね。

  1. 2014年 9月 02日

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