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3本の矢というキャッチで世界中から期待を集めていたアベノミクスだが、国の内外から厳しい見方が広がっている。IMFの見通しでは、日本の2017年の実質GDP成長率はマイナス0.1%と予測した。日本経済新聞社はエコノミスト44名(機関)の実質GDP成長率予測を集計し平均を求めている。それと今年1月に出された内閣府の予測とを比較したのが次の表である。
実質GDP成長率 2015年度 2016年度 2017年度
内閣府予測 1.2% 1.7% 0.6%
エコノミスト予測 0.70% 0.93% −0.01%
通常、内閣府の予測は実際を大きく上回り、エコノミストの予測の平均の方が、実際に近いと思われる。内閣府のモデルだと2020年度には名目GDPは592兆円に、2021年度には614兆円になるのだが、これを見て安倍総理は2020年頃600兆円にするという目標を打ち出した。しかし、内閣府のモデルは「大本営発表」であり、いつも超楽観的な数字が並んでいて、時間の経過と供に化けの皮がはげ落ちる。
もし、エコノミストの予測が正しいとすると3年間ですでに2%くらい下方修正されており、これを織り込むと2020年度には581兆円にまで下方修正される。これまでの経験からして、実際のGDPはもっと低い水準に留まるのではないかと思う。
IMFも日本の成長率は世界の中で際だって低いと予測する。2017年4月に予定されている消費増税が重荷になるためとしている。それでも2017年の消費増税は予定通りせよと主張する。日本経済は停滞させるべき、日本を貧乏にして日本人を苦しめよと主張するのだろうか。そんな目的で経済学が使われるのであれば、経済学などいらない。経済学が価値があるとすれば、それは国を発展させ、国民を豊かにする方法を提案できる場合である。
今、増税・歳出削減で財政を黒字化すれば、将来は国が発展するのだという説がある。しかし、経済モデルを使って計算すれば分かるが、増税・歳出削減によって今、国を貧しくすれば、将来も貧しくなる。決して国の借金は減ることは無い。これは小泉内閣以降、経験によっても理解されてきたことだ。
減税を含む景気対策を行っても効果は一時的であり、それを止めれば元に戻るという説がある。しかし、それを止める必要はなく、景気が本当に回復しむしろ過熱する程度まで続ければ、元には戻らない。しかしそこまで景気対策を続けたことは過去に一度もない。景気が本格的に回復した世界は全く別次元の世界だ。その世界では需要がどんどん拡大していき、企業はそれに対応して人を雇って設備投資をし、生産を拡大すると利益も拡大する。
銀行に寝かしておいた資金を設備投資に回せば、利益が拡大するなら、カネの流れが全く変わってくる。人口減少の日本で需要が拡大するわけがないと反論する人がいるかもしれない。しかし、減税すれば消費は伸びる。政府が人工知能、IoT,医療、介護、保育、教育、公共事業等に投資を拡大すれば、需要は伸びる。人手が足りなくなると反論するかもしれない。
小野盛司
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