デフレの怖さを認識し、一刻も早くデフレ脱却をせよ
- 2016/4/19
- 社会, 経済
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約20年前、日本のGDPは拡大基調にあり、世界一のアメリカに追いつく勢いだった。ところが経済政策の失敗のお陰で、デフレが続き、今やGDPは米国の4分の1、中国の2分の1という情けない状況になってしまった。
日本経済衰退の始まりはバブル潰しだった。バブル時代、土地も株も上がった。それでは庶民はマイホームが持てなくなると「勘違い」した政府は、バブルを潰して地価を下げようとした。実際デフレのお陰で株も地価も下がり、その結果失われた株と不動産の資産価値は1700兆円、国民一人当たり千数百万円にも上った。地価は下がったが、デフレで収入が減り、巨額の財産を失った国民にとってマイホームは逆に手に入りにくくなった。
失われた20年という時代、不景気でものが売れない、売れないとき設備投資をして増産をすると、過剰在庫、過剰設備となるから、企業は古い機械をいつまでも使い続けざるを得ず、世界からは大きく遅れることとなった。
こんな時に消費増税など行ったために、消費が落ち込みデフレは悪化しつつある。財務省は、2016年度に印刷する1万円札を前年より1億8000万円(17%)増刷する。金庫も飛ぶように売れている。日銀がマイナス金利を決めたこともあり、自宅の金庫で現金を保管しておいたほうが安心と思うのだろう。デフレにはタンス預金がよいと考える人が多くなっている。また自宅外通学の私大生への仕送りが15年連続で減っている。デフレで親の収入が減り、仕送りを減らさざるを得なくなったのだ。株式市場を見ても、100円ショップや回転寿司などのデフレ銘柄に資金が流入しており、市場もデフレ悪化を予測している。
人はお金を十分持っておらず、十分ものを買うことができないから需要不足となりデフレになっている。デフレ脱却の方法は簡単だ。お金が足りなければ、お金を刷って国民に渡せば良い。直接渡してもよいし、減税とか様々な財政支出の形で政府が適切な額のお金を使えば、デフレ脱却が可能となり、日本経済は復活する。重要なのは、その経済対策の規模を正しく理解することだ。筆者が日経新聞社の日本経済モデルNEEDSを使って試算を行った結果、少なくとも30兆円の規模で数年間経済対策を続ける必要があると分かった。
残念ながら、この規模は政治家には理解できないようだ。緊急経済対策として安倍首相は、公共事業を半年で8割執行せよと指示した。前倒しで10兆円を使えということだが、この程度では効果は少ないし、前倒しの後は、再び景気が失速する。経済財政諮問会議では、消費喚起の目的で、商品券を配るという提案が出されている。実は筆者は2009年2月19日、自民党清和会の政策委員会で、消費喚起のため額面を上回るような商品券を発行すべきだという提案をした。その場にいた議員の一人が早速この案を使わせていただきますと言っておられた。もちろん、これは効果があるのは間違いないが、消費喚起の目的であれば、規模が問題だ。例えば1万1千円の価値がある商品券を1万円で売り出し、1千円分を国が負担する。1年で一人100枚まで買えるとし年度内だけ有効とよう。これなら車や家具が欲しいと思っていた人でも、この際前倒しで買っておこうとするだろう。旅行や家電にも使えるようにするとよい。次年度は、反動減があるかもしれないので、景気が完全に回復するまでこの企画は続けるべきだ。政府もやるなら経済理論に従って、是非適切な規模で実行してほしい。
小野盛司
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