経営者として「経費」と「税金」をどう考えるべきかについてお伝えしたいと思います。
まずは節税の効果を考える
経営者は、経費を支払うときに単純に「支払った金額=キャッシュアウト」と考えるべきではありません。なぜなら、税金を考えて経営をしないといけないからです。
この仕組みは具体例がわかりやすいと思いますので、次のような具体例の比較で考えてみることにします。
(1)1年間で100万円利益が出て、そのまま決算を迎えた場合
(2)1年間で100万円利益が出て、10万円の経費を使った場合
この2つの例を使って、経費を使うことで手元に残るお金がどれだけ変わるかについて考えたいと思います。
(1)の場合、100万円丸々に40%の法人税が課税されますので、手元に残るお金は、
100万円-100万円×40%=60万円
が手元に残ります。
(2)の場合、10万円の経費を使っていますので、利益が90万円です。よって、
90万円-90万円×40%=54万円
が手元に残ります。
ということは、10万円お金を使ったのに、手元に残るお金は6万円しか変わっていないのです。これが「税効果」と言われる考え方です。つまり、経営者は会社に必要なものであれば、税金を考えると40%引きで手に入るということになります。なんだか得をした気分ですね。
ですが、無駄なものでも何でも買うべきとは言っておりません。税金を考えれば40%引きですが、それでも60%はキャッシュアウトしているのです。無駄なものを買うくらいなら40%の税金を支払っても、手元に残るキャッシュを優先する方がお金は残ります。
ただ節約に力を注げば良いわけではない
では、投資するときに何を考えて投資をすれば良いか。
それは「支払うべき金額の60%」と「その投資によってどれだけ経営者の時間ができるか」「どれだけ会社の効率が良くなるか」「どれだけ社内の雰囲気が良くなるか」などを天秤に掛けるのです。
30万円のパソコンを買うときに、30万円のキャッシュアウトと考えずに18万円のキャッシュアウトと考える。
その18万円によって経営者の時間がどれだけできるか。
その18万円によって社内の効率はどれだけ良くなるか。
こういった視点で経費を考えていくと、投資の失敗は減ることになります。とくに「経営者の時間との比較」という視点は重要です。
最初にコストを抑えるために何でも自分で抱え込む経営者がいらっしゃいますが、あまり賢明な判断とは言えません。経営者の時間は有限です。特に、起業直後はすべきことが山盛りです。売上の基盤を作り、品質やサービスを高めて、信用を作る大事な時期に、直接売上に結びつかないことはアウトソーシングをするというのも戦略的に正しい選択です。
役員報酬を決めれば、割り算で自分の「時給」が決まります。「時給」を知れば自分がすべき仕事なのか、アウトソーシングすべき仕事なのかが判断できるようになります。参考に週40時間働く経営者の「時給」を考えてみましょう。
役員報酬が月40万の経営者の時給・・・2500円/h
役員報酬が月60万の経営者の時給・・・3750円/h
役員報酬が月80万の経営者の時給・・・5000円/h
役員報酬が月100万の経営者の時給・・・6250円/h
役員報酬が月200万の経営者の時給・・・12500円/h
この金額と「支払金額の60%」を天秤に掛ける習慣を早いうちに身につけていくといいと思います!
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