<愛国のパラドックス> SPECIAL TRAILERS
佐藤健志氏の新刊『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は終わった』が、1月27日、アスペクトより発売されました。
日本の抱えるさまざまな問題を、<パラドックス>というコンセプトに基づいて明快に論じたもので、amazonでは発売前日から40日以上、イデオロギー部門で1位を記録しています。
岩手県の達増拓也知事は、ツイッターで二度にわたり、次のようにコメントしました。
「我が国最高の保守評論家による、保守愛に満ちた保守論。保守本来のリアリズムと寛容さは国の宝なので、この本で良き保守主義者が育つことを期待します」
https://twitter.com/tassotakuya/status/561424919867580416
「保守愛に満ちているがゆえに、実際に日本で見られる様々な保守的言動について徹底的に批判している本なので、多くの人たちに読んでほしい」
https://twitter.com/tassotakuya/status/561756796616851456
三橋貴明さんも、2月20日と21日のブログで同書を取り上げ、
「読んで『これだ!』と思った」
「以前から疑問に思っていた日本の「保守派」について、回答を示してくれた」
と賞賛しました。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11992201111.html(2月20日)
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11992631561.html(2月21日)
同書に収録された15本の論考の中から4本を特別にセレクト、SPECIAL TRAILERSとして連載します。
本ではさらに刺激的な分析が展開されていますので、あわせてご覧下さい。
http://amzn.to/1A9Ezve
ここしばらく日本では、韓国への反感、ないし「反韓」がブームとなりました。とりたてて保守系と思われない雑誌でも、「ふざけるな韓国」「いい加減にしろ」といった調子の記事を掲載するのは珍しくありません。エンターテインメントの世界における「韓流」の人気に対しても、広告代理店が仕組んだものにすぎず、実際はそれほどでもないという反論が寄せられています。
これらの主張にも、相応の背景や根拠はあるでしょう。しかし私は、自分が学生だった
一九八〇年代後半のことを思い出します。
私は第三外国語として朝鮮語を学んでいました。卒業論文のテーマに、韓国の民主化を選んだためです。大学卒業の数カ月後、この論文を要約した「安定した民主国家へ向う韓国」という評論が『中央公論』に掲載されました(一九八九年八月号)。
論文執筆の過程で、同国の学生運動について取材した経験から生まれたのが、処女長編となった小説『チングー・韓国の友人』。一九九〇年に新潮社より刊行、韓国でも「時事英語社」から翻訳されたほか、NHK-FMでラジオドラマ化もされました。ただし『友へ チング』という韓国映画(クァク・キョンテク監督、二〇〇一年)は、私の小説が原作というわけではなく、まったく別の話です。
とまれ当時、韓国に関心を持つ者はまったくの少数派でした。朝鮮語を学びたがる学生など、大半は「日本政府と結託し、民衆を抑圧する韓国の現政権を打倒せよ!」と叫ぶ左翼か、でなければ同国の某新興宗教の信者。左翼でもなく、信者でもない学生となると、私のほかには、同期だった城内実さん(現・衆議院議員)ぐらいだったかもしれません。
韓国や北朝鮮に関する本も少なく、雑誌『世界』では「T・K生」なる匿名の人物が、「韓国からの通信」と称して、真偽定かならぬ反体制情報を紹介していました。この連載記事、「韓国からの」という題名にもかかわらず、本当は日本で書かれていたのですが、これは脇に置きましょう。
韓国映画の日本公開は、ようやく始まっていたものの、定員数十名程度のミニシアターで、ごくたまに上映される程度。同国に特別な関心を持つ者か、よほどの映画マニアでなければ、足を運ぶことはありませんでした。まして向こうのテレビドラマやポップスが、日本で広く知られるようになる日が来るなど、夢にも想像できなかったのです。
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