フジテレビが嫌われる理由。画面に映る上から目線

過去最低の27時間テレビ

 ポケモンGOのヒットにより、関連銘柄が連れ高した「ポケモノミクス」。その筆頭とも言える「フジテレビ(株式銘柄はフジ・メディア・HD」。これを主導した常務が、次期社長レースの本命に躍り出たと「週刊新潮」が報じましたが、明るい話題はこれぐらい。週間視聴率上位20位から視聴動向を読み解く読売新聞の『深読み視聴率』にて、「大相撲が盛り上がったせいで、番組がランキングにはいれず残念(要約)」と同情されるほどの苦戦が続き、あの『サザエさん』でさえランクインしないことがあります。

 読売新聞がランキング漏れを残念がってみせた番組も、毎夏放送される昼夜ぶっ通しの『27時間テレビフェスティバル!』のわずか2時間ほどのコーナーのみで、全体の平均視聴率7.7%で「過去最低」。打つ手打つ手が失敗しているのが、いまのフジテレビです。

 お笑いコンビ 爆笑問題の太田光さんは7月26日深夜放送のラジオ番組『爆笑問題カーボーイ』で、フジテレビを批判する声を「そんなのね、どうせネットのバカだろ?(略)結局、フジテレビ観てるのって、そいつらなんだもん、そいつらしか観てないんだから」と擁護します。この指摘が正しいのなら「ネットのバカ」以外の視聴者は既に離れているということで事態はより深刻です。しかし、「ネットのバカ」なる不確かなものはともかく、フジテレビが嫌われる理由は、そのフジテレビの毎日の番組中で確認できます。

ネットのバカの声

 ネットではかなり前から、フジテレビ批判は繰り返され、「ウジテレビ」との代名詞もあります。それは日本の公共財である「放送電波」を用いていながら、日本を侮辱するかの演出が散見し、同時に韓国やK-POPへの露骨な傾斜への批判です。批判のすべてを首肯できませんが、ドラマの小道具として用意された雑誌の表紙に「JAP」と日本の蔑称が用いられていたり、震災をモチーフにしたドラマに「tsunami_lucky(=津波ラッキー)」という名刺が登場したりと、ネットには各種の「証拠」が発掘され保存されています。

 フィギュアスケートの浅田真央さんと韓国のキム・ヨナさんの扱いは後者に手厚く、今はなきお昼の人気番組『笑っていいとも!』では、ピザハットの人気メニューベスト1位を「特うまプルコギ」と紹介しましたが、ピザハットの公式サイトでは「チーズハーモニー」とありました。捏造してまで韓国におもねる「韓流推し」と炎上したものです。2011年、俳優
 高岡奏輔(旧 高岡蒼甫)さんの「韓流ドラマばかり放送するフジテレビ(発言要旨)」というツイートが、「ネットのバカ」のフジテレビ批判を加速させ、フジテレビ前に2000人を集めたデモとなり、タレントや文化人を巻き込んだ大論争となりました。

 しかし、すべて「ネット」のなかのできごと。なぜなら、このデモは主要メディアでは一切報じられることがなかったからです。都合の悪いことは黙殺する「報道しない自由」です。その為、太田光さん言うところの「ネットのバカ」以外は、この騒動をあまり知りません。つまり、ネットのなかの批判や侮蔑は、フジテレビの「凋落」には無関係とみるべきでしょう。

 その「韓流推し」も凋落理由になりません。韓流ドラマへの傾斜は、フジテレビだけではなく、TBSは2014年まで『韓流セレクト』として放送枠を持ち、BSではいまも民放各局が放送しています。また、開局以来の絶好調な視聴率を叩き出し、快進撃を続けている「テレビ東京」は、いまも平日の毎朝『韓流プレミアム』としてドラマシリーズを放送しています。

何が問題なのか

 韓流推し以外の、批判の声には「内輪ウケが多い」「自社の宣伝ばかり」「タレント気取りの女子アナ」などがあり、それぞれ頷けるものばかりですが、実はこれらはNHKも含めた他局も同じ。電波の私物化は、すべてのテレビ局が日常的に繰り返しており「テレビ離れ」の一因かもしれませんが、フジテレビ特有のものではありません。フジテレビは今年の4月より『ライオンのごきげんよう』と、いわゆる「昼ドラ」枠をつぶし、月曜日から金曜日の平日は、早朝の4時から夕方7時までの15時間の生放送に切り換えました。この生放送のなかの随所に、フジテレビだけが視聴者に嫌われる理由を確認できます。

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西部邁

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  1. 2016-2-24

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