18才選挙権を巡るマスコミの偽証。若者の政治離れという嘘
- 2016/7/5
- 社会
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若者のわずか1%
7月10日に投開票となる第24回参議院選挙より、投票年令が18才に引き下げられることについて、新聞は連日のように報じます。
朝日新聞|「お嬢様芸人」18歳選挙権テーマに出前授業(2016年6月30日)
毎日新聞|2016参院選 18歳選挙権 導入の先は(2016年6月29日)
読売新聞|大学で初めての1票…18歳選挙権(2016年06月29日)
初めてのケースにはしゃいでいるのでしょうが、結論を述べれば18才選挙権により政界地図が塗り替えられることはありません。推定される投票率から導き出される影響力は1%。また、マスコミは低投票率を論拠として「若者の政治離れ」と嘆きますが、離れてなどいません。そもそも近づいていないのです。今回は「18歳選挙権」から「若者と政治」、そして「マスコミ」について考えてみます。
若者のわずか1%
18才から20才までの人口は240万人ほどで、全世代の選挙人数1億405万人の2%に過ぎません。総務省選挙部の資料によると、2013年の参議院選挙では50〜54歳で60.31%あった投票率が、45~49歳で54.86%、40~44歳は48.90%と5%刻みで投票率が下がります。この低下割合を、そのまま18〜19歳に当てはめたときの投票率は25%。20歳以上の投票率を前回と同じ52.6%としたとき、わずか1%となります。
今回から大学キャンパス内での期日前投票を解禁しており、また「はじめての18歳選挙権」への注目から、いくぶん投票率が高まる可能性は否定しきれませんが、一方で高い投票率が生み出す問題は語られることがありません。
有権者は衆愚か
小選挙区制が実施された平成8年以降で、もっとも高い投票率を記録したのが2009年。民主党による政権交代選挙です。その次が2005年のいわゆる「郵政解散選挙」。民主党政権は「小沢ガールズ&チルドレン」に代表される新人議員らを大量に生み出し、私の地元、東京13区では大臣経験者の鴨下一郎氏を、民主党の無名の新人が破りました。彼は当選後、週刊誌に女性スキャンダルをスクープされ、国会議員に相応しくない立ち居振る舞いにより、熱心な地元の民主党支持者すら呆れさせるゲスな人物でした。日本全国に刺客が向けられた郵政解散選挙から生まれた「小泉チルドレン」も数々の騒動を起こしています。
直近では、EU離脱の賛否を問う、英国国民投票の投票率は72.1%。ご存知の通り「離脱」が過半数を超え、英国は大混乱に陥っています。いずれも高い投票率の結果です。高い投票率とは、政治に強い関心を持っていない人、つまりは「良く考えていない人」の割合を高めるということで、理性的ではない結論に到達しやすい問題を孕みます。
SEALDsに「引いちゃう」
若者と政治という文脈で、たびたびマスコミが引用する「SEALDs」。後に続いたのはその下部組織である「T-ns SOWL(ティーンズソウル)」ぐらいです。「SEALDs」は全労連の街宣車を借りており、「T-ns SOWL」にしても彼らが主催するデモの全体を移した映像からは、老人や中年風の容姿をした「若者」が確認されています。いわゆる「普通の若者」ではないと考えるべきでしょう。
現役女子高校生タレント 岡本夏美はこの7月1日で18歳を迎え、選挙権を手にしました。アシスタントを務めるフジテレビ「ワイドナショー」でSEALDsらの活動を問われ、「正直、そういう意識があるのはすごい。クラスにこういう子がいたら引いちゃう」と答えています。SEALDsらを除いた、若者はそもそも政治に近づいていないのです。
維新の志士との違い
そんな変わった若者団体SEALDs代表 奥田愛基氏が自らの行動を幕末の志士に重ねたことで、ネット上で大バッシングされていました。日本の夜明けのために文字通り「命がけ」だった志士と、絶対的な安全が保障された国会前で、大声を張り上げるだけのSEALDsを同列に並べるのは無理があります。
かつての日本では、若き志士が政治に奔走しましたが、いまの若者が政治に近づきもしません。それは、それなりに政治が機能し、平和と安全が提供されている良い国だという証拠です。なにより、幕末の志士は、ペリー来航に代表される世界の激動を前に「日本を変える」ために奔走しました。対して、SELADsらの「若者の声」とは「憲法変えるな」「集団的自衛権反対」と、つまりは「日本を変えるな」。これひとつとっても、彼らに「若者らしさ」を見つけるのは困難。SEALDsは若者の代表者ではありません。
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2016年 7月 15日
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