間違った放射線の知識が被害を拡大する

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東日本大震災から5年が過ぎ、原発事故に対する対応は果たして正しかったのか考え直す時が来たと思う。福島県発表では、東日本大震災の被害は死者3859人、その中で直接死は1604人、震災関連死は2031人だ。特に注目すべきは原発事故関連死の1232人である。
これは、家は壊れておらず、見た感じは住める状態なのに、放射線レベルが高いという理由で劣悪な環境の避難場所に移動させられ、体調を崩して死んでしまった人が千人以上もいるということだ。

死んでしまった人の数よりずっと多いのが不健康な生活のために糖尿病などの病気になった人だ。運動不足、栄養の偏りなどで体調を崩す人が続出している。子供と母親は別な場所に移住させ、父親だけ別な場所で働くなどとすると食生活が偏ったりする。
それでは、もし放射線レベルが高くても避難させなかったらどうなっていただろう。あるいは政府の決めた避難地域をずっと狭くしていたら(避難地域縮小シナリオ)どうなっていただろう。WHOは2013年2月28日に「福島事故の健康リスク」というレポートをまとめた。
これによると、福島の放射線レベルは低いので、このレベルでは健康被害は出ないというものだ。このシナリオではつまり原発関連死の1232人のうちのかなりの部分は死ななくてもすんだ。健康を害する人もいなかっただろう。つまり、「避難する」という行動は、極めて危険と伴うことであり、多数の死者や健康被害をもたらす。もし放射線による健康被害がそれを上回ることが間違いないと科学的に証明されれば、国は避難をさせるべきであり、そうでなければ避難をさせるべきではない。実際に起きたことと、避難地域縮小シナリオでの死者、健康被害者の比較をシミュレーションしてほしい。
もちろん、格納容器に破壊の危険や貯蔵された大量の使用済み核燃料が冷却不能となる最悪の事態に陥る危険性が差し迫っていると判断されれば、避難は仕方がなかったかもしれないが、その恐れが無くなれば、速やかに避難指示を解除すべきだっただろう。

果たして原発だけが危険なのか、石炭火力発電では燃やした後の奮迅が呼吸器疾患を引き起こし多数の人が死んでいる。水力発電所もダム建設の段階や、ダム決壊の事故で多くの死者がでている。Forbesの記事では1兆kwh当たりの死者の数だと石炭火力発電では原発の3000倍、石油は400倍、天然ガスは44倍、水力は16倍となっており、原発以外の発電所のようがはるかに危険という結果になっている。

先日高浜原発の運転停止を命じる仮処分を大津地裁が出した。原子力規制委員会が専門家を集め世界最高水準と言われる新規制水準に適合すると判断していた。安全性の判断は専門家によって行われるべきで、何の知識もなく、理解力もないこの分野の素人である裁判官が行うべきでは無い。ゼロリスクを求めるなら、原発以外のすべての発電所を止めなければならないし、車も航空機も同様だ。

除染が進まないのも、見えない放射線に対する過度の恐怖が邪魔している。民主党政権下では除染目標を年間1ミリシーベルト以下と定めた。これは何の科学的根拠もないのだが、それに正しく言及した丸川環境相は、袋だたきにあって、撤回させられてしまった。

平均的な日本人は、自然放射能、医療検査等で年間6ミリシーベルトの被爆がある。100ミリシーベルト以下の被爆での健康被害の例はない。宇宙飛行士は1日で1ミリシーベルトの放射線を浴びている。古川宇宙飛行士は5カ月半宇宙に滞在168ミリシーベルトの放射線を浴びたが、健康状態は極めて良好だ。大量に放射線を浴びて地上に帰って来た宇宙飛行士は、出発前より健康データはよくなっている。放射線を多く浴びるラジウム温泉やラドン温泉のある村の住民はガンによる死亡率は全国平均の半分以下。放射線を多く浴びるパイロットや放射線技師はガンによる死亡率は低い。

福島レベルの低レベルの放射線であれば、浴びた方が逆に健康状態は改善するというのが科学的データで示されている。このことを国民が理解すれば、福島の復興は大きく前進するだろう。

小野盛司

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