2020年にGDP600兆円という目標
- 2015/11/10
- 経済
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※この記事は「チャンネルAJER」様より記事を提供いただいています。
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アベノミクス「新・三本の矢」の一つの「2020年にGDP600兆円という目標」に関しては、評判が悪い。どうせできやしないという論評が大部分だ。
しかし、名目成長率3%という国際的に見れば控えめな目標であるにも拘わらず、どうせだめだろうと多くの人は思っている。それもそのはずで、かつて奇跡的な経済成長を続けていた日本だが、バブル崩壊後は名目GDPは縮小気味だ。
2000年の名目GDPを100とした場合の2014年の名目GDPを表にしてみよう。データはOECD Economic Outlookから引用する。
韓国 233
カナダ 180
イギリス 175
アメリカ 169
スペイン 164
フランス 145
ドイツ 138
イタリア 130
日本 96
このようにマイナス成長は日本だけだ。このリストから普通の国であれば、名目GDPは2014年には150位になっていただろう。2000年の名目GDPは511兆円だったから、2014年には766兆円になっていたに違いない。これが世界の常識であり、600兆円など無理と決めつけるのは日本の非常識だ。
政治家の判断を狂わせ日本経済を衰退に導いているのは内閣府の試算だ。今回の安倍首相もすっかりその試算に騙されてしまった。確かに今年発表された内閣府試算では、日本の名目GDPは2020年頃600兆円程度になっている。しかし、こういった予測は毎年例外なく大幅に下方修正されている。最近の3年間の2020年の名目GDPの予測を見てもそれは確かめることができる。
2013年の予測 620.7兆円
2014年の予測 616.8兆円
2015年の予測 594.7兆円
毎年間違いなく大幅下方修正が行われている。これは2020年頃まで続くから現在の政府の政策では600兆円の目標は達成されない。同様に内閣府試算に騙されたのが小泉元首相だ。2006年の内閣府試算では基礎的財政収支の推移は
2006年度 -2.8%
2007年度 -2.0%
2008年度 -1.5%
2009年度 -1.0%
2010年度 -0.4%
2011年度 0.0%
この試算をすっかり信じ込んで小泉元首相は2011年度基礎的財政収支黒字化目標を掲げた。しかも緊縮予算を続けた結果、財政は悪化し結局2011年度の基礎的財政収支は -6.9% にまで悪化した。
結論から言えば、内閣府試算など信じてはいけない。民間シンクタンクの試算でしっかり計算すればすぐ分かる。20~30兆円の追加補正予算で大規模な景気対策を何年か続ければ、3%以上の成長は余裕で可能だし、基礎的財政収支も黒字化してくる。2020年に600兆円超えも可能となる。
小野盛司
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